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肺がん(胸部)

肺がんって?

肺がんには原発性肺がんと転移性肺腫瘍があります。
  原発性肺がんとは、肺から発生したがんの事で、一般に「肺がん」とはこの事を指します。これに対して、たとえば乳がん、大腸がんなど他の臓器から発生し、肺に転移した場合を転移性肺腫瘍と呼び、原発性肺がんとは違う扱いをします。転移性肺腫瘍におけるがんの進行の仕方や治療に対する感受性は、元来発生した臓器のがんの特徴を持っているため、原発性肺がんとは検査の種類や治療法自体が異なります。

肺がんの種類は?

原発性肺がんの組織型は、小細胞がん、腺がん、大細胞がん、扁平上皮がんという4つのタイプに分類されます。
  治療の上からは、「小細胞肺がん」と、その他の3つをまとめた「非小細胞肺がん」の2つに大別します。 また最近では、「非小細胞肺がん」をさらに「扁平上皮がん」と「非扁平上皮がん」に分類する事もあります。

肺がんの疫学について

2005年の集計では、日本における死因の第1位は「がん」であり、部位別がん死亡率の第1位は「肺がん」です。2020年におけるがん患者数の推計によると、男性では肺がんの新患者数が約91,000人、女性では約34,000人になると予測されており、肺がんは男性、女性ともに増加傾向にあります。

肺がんによる死亡率は、1950年代から世界的に増加してきましたが、男性に関しては英国やアメリカなど一部の国では減少傾向に転じてきています。これは、喫煙率の減少が大きな役割を占めていると考えられます。

喫煙が及ぼす肺がんへの人口寄与危険率および曝露群寄与危険率では、非喫煙者も含めた人口全体の肺がんのうち、男性では71.6%、女性では15.6%に喫煙が寄与しています。また、喫煙者における肺がんのうち、男性では77.5%、女性では57.3%に喫煙が寄与しています。

肺がんの最大の原因は喫煙です。肺がんに関する正しい知識を持ち、禁煙を推し進めることが肺がんの対策として最も重要になります。

肺がんの検査は?

肺がんの診断手順は、まず問診により肺がんの症状などを確認し、視診、触診などを行います。次に胸部X線や喀痰細胞診などを行い、これらの検査で肺がんが疑われた場合には、胸部CTや確定診断のための検査(気管支鏡検査、経皮生検、胸腔鏡検査、縦隔鏡検査などの組織診や細胞診)を実施します。その結果、がん細胞やがん組織が確認され、肺がんの確定診断が得られた場合には、病期診断のための検査(胸部CT、頭部MRI・CT、腹部CT・超音波検査、骨シンチグラフィー、PET-CTなど)を行います。

体にがんができると、血液などに目印となる物質が出てくることがあります。その物質のことを腫瘍マーカーと呼びます。肺がんにおける腫瘍マーカーは特異性や感受性に問題があり、その利用はあくまでも補助的なものですが、再発の検出、治療の反応などについては一定の価値があります。

肺がんの診断が確定すると、がんの進行度を確認するために病期診断(Staging)を行います。病期診断においては、「原発巣(がんが発生した場所)の状態;T因子」「リンパ節への転移の状態;N因子」「遠隔転移の有無;M因子」の3つの因子により、がんの進行度を大きく6期(潜在がん、0期~Ⅳ期)に分けます。この病期によって、最も適切な治療法が選択されます。

当院の呼吸器内科では、気管支鏡検査の場合、通常2泊3日の入院にて検査を行っており、呼吸器外科では胸腔鏡検査、縦隔鏡検査を行っています。また、PET-CT、MRIなどの検査は、全て当院にて行う事ができます。

肺がんの治療法は?

肺がんの治療法には、局所療法と全身療法があります。局所療法は手術、放射線療法であり、全身療法とは、分子標的治療薬なども含む抗がん剤による化学療法のことであり、これらを単独、また組み合わせて加療します。がんの組織型や病期、全身状態など種々の要素を勘案した上で、最適な治療法を選択します。

1.手術

目標となった場所に存在する、がん細胞のすべてを取り除くことを目的とします。適応となる条件としては、手術で切除可能なところのみにがんが存在すること、手術に耐えられる体力があること、が挙げられます。
  当院においても、呼吸器外科専門医による手術を行っています。

2.放射線療法

放射線を照射した部位にしか効果がありませんが、身体への負担が小さいため、治癒を目的とする場合だけでなく、疼痛管理などにも使用されます。技術の進歩により、照射の量や方向の調節が細かくできるようになり、有害事象の軽減が進んでいます。
  当院では専門の放射線治療医により、通常行われる放射線療法に加え、定位放射線療法(X-knifeなど)という治療法もおこなっています。

3.化学療法

化学物質を基にした薬剤で、がん細胞のDNA合成に必要な代謝物やDNA合成を直接阻害して、がん細胞を死滅させることを目的とした治療法を化学療法といいます。一般的に、抗がん剤により、生存期間の延長やQOL(生活の質)の改善が認められます。
  また今世紀に入り、分子標的治療という新しい概念の薬剤が登場しました。がん細胞の表面にはEGFR(上皮成長因子受容体)と呼ばれるタンパク質が変異していることが多く、このタンパク質からの信号が細胞内に伝わるとがん細胞が増殖します。分子標的治療薬はがん細胞を直接攻撃するのではなく、この信号の伝達を止めることで、がん細胞の増殖を抑制します。
  さらに2009年には、VEGF(血管内皮細胞増殖因子)に対するモノクローナル抗体が、肺がんに対する治療薬として承認されました。
  これらの治療薬を適切に組み合わせることで、肺がんに対する化学療法も大きく進歩しています。
  当院では主に呼吸器内科で化学療法を担当しており、これらの薬剤ほぼ全ての使用が可能です。また、抗癌剤の組み合わせによっては、主に外来にて治療を行うことも可能になっています。

  肺がんに対する診断法、治療法は日々進歩しています。当院では、最新の診断、治療技術を提供できるよう努力しております。