外科
一般外科・乳腺外科診療部長 田中 将也
消化器外科診療部長 黒田 久志
内視鏡外科診療部長 中野 昌彦
当科では外科系救急疾患、消化器外科、乳腺外科を診療の柱として外科疾患全般にわたって診断・治療を行い、地域医療への貢献を目標としています。
当科での2008年度の手術総数は854例でした。その内、予定手術は547例、緊急手術は307例でした。主な疾患別では、胃癌80例、結腸・直腸癌99例、肝臓癌39例、胆・膵悪性腫瘍22例、食道癌8例、乳癌手術54例、胆石・総胆管結石135例、その他虫垂炎、ソケイヘルニア、腸閉塞、消化管穿孔などの腹膜炎手術等を行っています。
胆嚢結石症に対してはもちろん、近年は胃癌、結腸・直腸癌に関しても積極的に腹腔鏡下手術を行っており、昨年度は腹腔鏡下結腸・直腸癌手術24例、腹腔鏡下胃癌手術14例を施行しました。今年度はさらに多くの腹腔鏡手術を行っています。また、脾臓摘出術、膵体尾部切除術なども腹腔鏡下に行うようになりました。
毎週木曜日には次週の手術症例・相談症例の検討を外科内で行い、術式・治療方針の決定とともに専修医・研修医の症例検討報告の場にしています。毎週金曜日には消化器内科、放射線科、病理診断部とともに術前・術後の合同カンファレンスを行い、術前の画像診断のディスカッション、術後病理所見の検討をしています。同時に悪性疾患に対する治療方針の検討(cancer board)を行っています。また、毎月第2金曜日には検査技師、放射線科、病理診断部とともに乳腺カンファランスを行っています。
なお、日本外科学会、日本救急医学会、日本消化器病学会、日本消化器外科学会の各認定施設、乳癌学会の関連施設となっています。
得意とする専門分野
緊急外科疾患、外傷に対しては365日24時間、初期救急から3次救急まで、受け入れられるような体制を執っています。特に多発外傷に対しては他科との速やかな連携のもとに治療を行っています。特に肝、腎、脾等の鈍的損傷例に対しては、放射線科の協力のもと血管造影下の塞栓術(TAE)による治療を行い、奏効しています。
また、大腸穿孔など重症感染症を伴う腹膜炎に対しては術後に腎臓内科と協力し、エンドトキシン吸着療法(PMX)や持続的血液濾過療法などの透析治療を積極的に導入し、好結果を得ています。近年は急性胆石性胆嚢炎のガイドラインに従って、急性胆石性胆嚢炎に対しても緊急で腹腔鏡下胆嚢摘出術を行っています。他科との連携により速やかな治療が行えるところが特徴です。
消化器外科では前述のように開腹手術に比べて低侵襲である腹腔鏡下手術を積極的に行っています。4~5年前までは腹腔鏡手術は胆嚢摘出術、脾臓摘出術のみに行っていました。最近では、胃癌、結腸・直腸癌に対しても安全かつ迅速に行えるようになりました。腹腔鏡手術は2cm程の開腹創からポートといわれる筒を腹腔内に留置し、腹腔鏡というカメラを挿入します。ポートから炭酸ガスを送気して一定の圧を保ち視野を確保します。他の部位から12mmまたは5mmのポートを挿入して(通常4本)、鉗子や超音波切開装置を用いて目的臓器を摘出します。胃癌、結腸・直腸癌では部位に応じて4~5cm程開腹して、臓器を取り出し再建します。通常に行われていた手術創よりもかなり小さく済むため、創痛が軽減され、術後の腸管運動も早く回復します。経口摂取の再開も早くなることが特徴です。
また、最大の利点はカメラを挿入することで臓器や血管の拡大効果が得られることです。出血量も少なく、社会復帰も早くなる患者さんが多いです。以前は手術時間が長くかかり懸念されていましたが、最近では時間も短縮されてきており、胃癌・結腸・直腸癌に対する腹腔鏡手術の適応も広がりつつあります。
また、進行・再発の胃癌、結腸・直腸癌に対しては化学療法のガイドラインに沿って治療を行っています。通院で可能な治療は出来るだけ外来で行っています。現在も約30人の患者さんが外来化学療法を受けておられます。今後、外来化学療法をより快適に、安全に行えるように外来看護スタッフとともに努力しています。
乳癌に関しては、Q.O.L(quality of life:生活の質)を考慮し赤外線法を用いたセンチネルリンパ節生検を行い、腋窩リンパ節郭清を省略しています。乳房切除の場合は乳房再建(同時、2期)も形成外科と合同で積極的に行っています。
また、乳がん術後の患者さんの心と体のケアの必要性から今年度より乳がん患者様の会やリンパ浮腫外来を設立いたしました。
今後は、救急体制のさらなる充実と、がん診療連携地域拠点病院として、近隣の開業の先生方から信頼を得て、さらなる連携向上を図り、地域住民の方々に信頼されるように努力する所存です。
更新:2009年11月