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心臓血管外科

診療部長 安永弘

診療部長  安永 弘

当院の心臓血管外科の特徴は成人疾患から、先天性の心疾患、血管疾患といわゆる心臓と血管の病気のほとんどの外科的治療が行えることと考えます。当院の特性として、循環器センター、母子医療センター、新生児センター、県南筑後地区の救命センターがあり、その必要性により緊急を含め、あらゆる心臓、血管の疾患に対処できるように行っています。

当科のメンバーはスタッフ4人と少ないメンバーです。しかし、循環器内科、小児循環器内科、麻酔科、臨床工学室、看護師、リハビリテーション科などと、それぞれの症例に対し綿密なカンファランスを行い治療に参加していただくことにより完全なるチーム医療を行うことで成り立っているといえます。開心術後の術翌日からの早期リハビリなど、リハビリチームの早期介入により、後期高齢の患者さんでも早期離床を図り、自信をつけて帰っていただくなど、患者さんやその家族にあった安全でやさしい医療提供することを目標としています。

我々自身も、積極的な学会活動や、国内はもとより海外までの研修などを行い、新しい情報を吸収勉強し皆様のご期待に添えるような治療を行えるようにさらなる発展を目指しております。また、胸部外科指定施設としての教育の責任を考えております。

心臓外科は特殊領域と考えられています。しかし、心臓外科の術後管理など、いわゆるショックのコントロールを行い循環管理を行っていると考えられます。循環作動薬の勉強や循環管理は医師としての基本を身につけることができると考えています。

また、血管への基本手技を学ぶだけでも今後のあらゆる外科に通じてくると考えます。

先天性心疾患に対する手術

当院では小児循環器内科が久留米大学とタイアップして積極的なカテーテル治療を行っています。

心房中隔欠損症や動脈管開存症の Amplatzer(アンプラツァー) 法による閉鎖などです。そのため、当科では欠損孔の大きなものや他の合併を認めるものが手術となります。よって、安全かつ確実な治療を要求され、それを実践しています。

新生児や乳幼児の症例は、この分野では西日本最大の規模を誇る母子医療センター・新生児ICUとの連携の下に、2名の小児循環器内科スタッフと緊密な協力体制下で手術前後の集中管理を行っています。

この緊密な協力体制が手術成績の向上に結びつき、複雑心奇形の救命率も良くなってきています。

成人心疾患

虚血性心疾患の領域では、循環器内科での経皮的冠動脈形成術(いわゆる、風船治療)の発展に伴い、外科的治療が必要となるものは、重症例や複雑なものとなってきています。

冠動脈バイパス術(以下CABG)においては、より安全にという観点から、off pump CABG(心拍動下で人工心肺装置の補助装置を使用しないで行う手術)より On pump beating CABG(心拍動下人工心肺補助)を主体として行っています。

'生体にやさしい人工心肺'というテーマで生体の影響も考え、、可変式閉鎖回路という新しい型を導入し行っています。この分野でも臨床工学師としっかりと連携を組み行っているところです。

弁膜症の昨今の話題は、変性性弁疾患の増加です。僧帽弁では閉鎖不全症が増大傾向にあります。人工弁を出来るだけ使用せずに弁形成術を第一選択とした治療方針を取っています。大動脈弁疾患では大動脈弁狭窄症の増加を認めます。大動脈弁置換術が第一選択となりますが、個々の症例に適した人工弁の選択が重要と考えています。

大血管疾患の手術

緊急手術で対応することが多い急性大動脈解離や胸部・腹部の大動脈瘤破裂などの手術成績も少しずつ安定してきています。麻酔科や救急部の充実により急患手術もスムーズに受け入れ、皆様のご期待に答えていけると考えております。

腹部大動脈瘤に対しては、ステントグラフトによる血管内治療も行っています。全ての症例で可能とは言えませんので、ご希望があれば一度専門医への受診をお勧めいたします。

末梢血管の手術

動脈硬化性動脈閉塞症は食生活の変化などにより確実に増加しており、これに対する治療として人工血管移植術や風船療法、ステント留置術などを行っています。
下肢の閉塞性動脈硬化症は時に腰痛症と同じような症状を示すことがあります。下肢の冷感や間歇性跛行(一定の距離の歩行で下肢の痛みが生じ、休憩で改善すること)などの症状がある場合は 一度専門医への受診をお勧めします。

下肢静脈瘤は立ち仕事の方や女性に多くみられるようになっています。治療としてストリッピング・静脈瘤切除も数多く手がけています。また、静脈瘤に対する伏在静脈高位結紮術や薬剤硬化療法も、可能であれば日帰り外来手術として行っています。

2009年の症例実績

    成人心疾患33(1)例{IHD:16(1)例、VHD:17(0)例}
    先天性心疾患70(0)例
    大血管33(2)例
    末梢血管39(1)例
    その他10例
    総計185例
     ※()内は死亡例

更新:2011年4月