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令和元年度 聖マリア病院 病院指標

年齢階級別退院患者数

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年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 2,382 675 665 940 1,091 1,396 2,630 3,445 2,500 675

当院の入院の患者の動向は二峰性にあります。
周産期センターや小児科を有するために0~9歳までの年齢区分のピークと高齢者のピークです。小児の入院患者の変動は大きくはありませんが高齢者の入院は増加傾向にあります。その傾向は昨年度よりさらに顕著となってきています。
予定入院をみるとそのピークは60代から70代に移行しています。緊急を含むと入院総数の40%が70歳以上との結果となっています。
80歳以上の年齢層での緊急入院率の増加も特色と言えます。80歳以上で見るとその70%以上は緊急入院となっています。総緊急入院数の中では80歳以上が占める率が26%と昨年度より増加しています。
人口減少の前に超高齢化社会が始まっているものと思われます。
高齢者の入院では早期の社会復帰のための取り組みが重要です。これは当院だけではなく
地域医療機関との連携をますます深め、取り組んでいかなければならない課題と思います。

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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消化器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100XX01XX0X 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 定義副傷病なし 345 3.88 2.67 0.58 68
060340XX03X00X 胆管(肝内外)結石,胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 処置2なし 定義副傷病なし 79 10.84 10.08 10.13 73.77
060140XX97X00X 胃十二指腸潰瘍,胃憩室症,幽門狭窄(穿孔を伴わないもの) その他の手術あり 処置2なし 定義副傷病なし 55 10.55 10.58 9.09 68.11
060020XX04X0XX 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃,十二指腸ポリープ・粘膜切除術 処置2なし 50 10.64 8.52 10 73.14
060102XX99XXXX 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 49 8.45 7.75 4.08 57.76

当院消化器内科では、消化管疾患に対するさまざまな内視鏡を用いた検査や治療のほとんどを行っています。中でも、胃・大腸の腫瘍性病変をはじめとした消化管腫瘍性病変の内視鏡的治療は年間約500件、特に大腸ポリープとよばれる大腸の腫瘍性病変に対して年間約400件の内視鏡下摘除を行っています。通常は3-4日程度の入院の上での治療を行っており、病変が小さな場合には外来での日帰り治療も行っています。また2cmを超えるような大きな病変に対しては、粘膜下層剥離術という手法を用いて内視鏡下で治療を行うことが可能です。
また、抗血栓薬という血液をサラサラにして固まらないようにするお薬を内服している患者さんにおいて、以前は出血の危険性を考慮し、抗血栓薬を休薬して治療を行っていました。しかし休薬する事で血栓症が発症する恐れもあるため、最近では1センチ程度までのポリープであれば薬の内容次第ですが内服したまま切除を行う事も可能となりました。
救急搬送される患者さんが多いことも当科の特徴です。その中でも胃・十二指腸潰瘍や大腸憩室などを原因とした消化管出血、胆石・胆のう炎、胆管結石に伴う胆管炎などの患者さんが多く搬送されます。ここでも内視鏡の果たす役割は大きく、消化管出血の患者さんに対する内視鏡的止血術や、胆管結石に伴う胆管炎や閉塞性黄疸の患者さんに対する内視鏡を用いた採石や胆管ドレナージ術などを行っています。
胃・十二指腸潰瘍の患者さんはヘリコバクターピロリ菌に感染していることが多く、そのような場合には一度潰瘍が治癒しても再発することがあります。またヘリコバクター・ピロリ菌は胃がんの発生に関与していることが明らかになっています。ヘリコバクター・ピロリ菌を除菌するには抗菌薬と制酸剤、あわせて3種類の薬剤を1週間ほど内服する治療(1次除菌)が有効であり、1次除菌療法を行った方の約90%でヘリコバクターピロリ菌が除菌されます。無効であった10%の方にも薬剤の一部を変更した2次除菌療法を行うと、その90%の方でヘリコバクターピロリ菌が除菌されます。また一度除菌されると再感染することがほとんどないとも報告されています。

血液内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130010XX97X2XX 急性白血病 手術あり 処置2 2あり 40 42.55 40.13 2.5 64.53
130030XX99X40X 非ホジキンリンパ腫 手術なし 処置2 4あり 定義副傷病なし 33 17.61 16.17 9.09 70.58
130030XX97X40X 非ホジキンリンパ腫 手術あり 処置2 4あり 定義副傷病なし 20 24.35 32.36 5 63.95
130030XX97X3XX 非ホジキンリンパ腫 手術あり 処置2 3あり 13 29.23 32.83 0 73.23
130030XX99X30X 非ホジキンリンパ腫 手術なし 処置2 3あり 定義副傷病なし 11 23 17.1 0 67.27

血液疾患においても高齢化の傾向にありますが、患者さんの病状や社会的な背景を評価して包括的な診療を行っています。診断時より緩和ケア積極的に取り入れ、難治性の患者さんにおいてもアドバンスケアプランニング(ACP:今後の治療・療養について患者・家族と医療従事者があらかじめ話し合う自発的なプロセス)を行いながら最期まで患者さんとそのご家族を支援する方針をとっています。
血液腫瘍においては細胞遺伝学的診断、遺伝子診断を用いたリスク評価を行い、リスクに応じた治療戦略をたてることによりより効果的で安全性の高い治療を選択しています。
「急性骨髄性白血病」に対しては、多剤併用化学療法を行い、高リスク症例や再発難治症例においては積極的に同種造血幹細胞移植を行っています。
「急性リンパ性白血病」に対しては、微少残存病変の有無による治療方針の選択を行っています。また新薬である抗体療法も積極的に取り入れています。
「悪性リンパ腫」においては、低悪性度リンパ腫に対する新規抗体医薬品やT細胞性リンパ腫に対する新規低分子医薬品を積極的に導入しています。再発低悪性度B細胞リンパ腫に対しては有害事象の少ない放射免疫療法も行っています。
難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対しては実施可能施設と提携して最新治療であるCAR-T療法を検討します。
「多発性骨髄腫」症例は高齢者が多いですが、可能な症例においては新規薬剤による治療導入後に積極的に自家末梢血幹細胞移植を行います。
「高リスク骨髄異形成症候群」においては、適応のある症例には積極的に同種造血細胞を行い、非移植適応患者に対してはアザシチジンを中心とした化学療法を行っています。低リスク骨髄異形成症候群に対しては免疫抑制療法うあエリスロポエチン受容体刺激剤、輸血による支持療法、鉄キレート療法を行っています。
「造血細胞移植」難治性血液疾患においては最後の砦ともいえる治療です。当施設は日本造血細胞移植学会においてカテゴリー2の認定を受けており、あらゆる同種造血細胞移植に対応できる体制を整備しています。

呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081XX99X00X 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 89 22.47 20.92 34.83 79.13
040040XX9910XX 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1あり 処置2なし 60 5.05 3.43 1.67 72.45
040040XX99040X 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2 4あり 定義副傷病なし 53 13.64 10 1.89 66.89
040110XXXXX0XX 間質性肺炎 処置2なし 49 24.2 19.06 20.41 74.47
040040XX9900XX 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし 29 23.34 14.58 17.24 74.83

呼吸器内科は肺疾患に対する診療科です。当科への入院患者数では高齢の患者さんに発症する誤嚥性肺炎が最も多く、地域の救急医療を担う当院ならではの特徴であります。
次に上位2、3、5位を占める疾患は肺がんで、それぞれ化学療法や放射線治療、検査入院、緩和治療が内訳となります。肺がん治療ガイドラインに従い治療方針をカンファレンスで決定しています。4番目に多い間質性肺炎は、さまざまな原因で肺が硬くなる(線維化する)病気で、原因によって抗線維化薬やステロイドなどの抗炎症治療、免疫抑制治療などを使い分けて治療しています。

脳血管内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060X2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内,かつ,JCS10未満) 手術なし 処置1なし 処置2 4あり 定義副傷病なし 発症前Rankin Scale 0,1又は2 137 19.5 16.18 40.88 69.95
010230XX99X00X てんかん 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 98 8.8 7.28 11.22 53.41
030400XX99XXXX 前庭機能障害 手術なし 72 5.46 5.1 2.78 64.38
010080XX99X001 脳脊髄の感染を伴う炎症 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 15歳以上 51 12.51 12.09 9.8 37.71
010061XXXXX0XX 一過性脳虚血発作 処置2なし 43 9.07 6.24 6.98 70.53

当科では年間500~600例の脳梗塞(一過性脳虚血発作を含む)患者さんの治療を行い、福岡県南地域の包括的な脳卒中センターとして重要な役割を担っています。今や一般的治療となった血栓溶解薬点滴静注療法に留まらず、一人でも多くの患者さんが社会復帰を果たすことができるよう、緊急再灌流療法(カテーテル治療)をいち早く標準治療として導入し、良好な成績を収めています。急速な高齢化の進行に伴って、「高齢者てんかん」が増加傾向にあります。突然意識を失って全身の痙攣を繰り返す「てんかん重責状態」で発症する方も多く、緊急気管内挿管や人工呼吸管理などの集中治療が必要になったり、後遺症として認知症や運動・嚥下機能障害を残したりすることのある、治療が難しい病態です。めまい症は良性の耳鼻科疾患(前庭機能障害)がその多くを占めますが、一部に決して良性とはいえない脳梗塞や脳出血などの脳卒中や、脳動脈解離などが原因のものも含まれるため、慎重な診断と治療を要します。また、脳脊髄(中枢神経)感染症は、治療の遅れが生命の危機や後遺症の原因となるため、早急かつ適確な診断と治療を要する緊急疾患です。当科ではあらゆる脳神経救急疾患に対して、迅速に対応できる診療体制を整えています。

循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050XX99100X 狭心症,慢性虚血性心疾患 手術なし 処置等1 1あり 処置2なし 定義副傷病なし 135 3.39 3.01 0 68.81
050050XX02000X 狭心症,慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 処置等1 なし,1,2あり 処置2なし 定義副傷病なし 130 4.78 4.47 0 68.14
050070XX01X0XX 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 処置2なし 120 5.08 5.15 0 64.96
050050XX99200X 狭心症,慢性虚血性心疾患 手術なし 処置等1 2あり 処置2なし 定義副傷病なし 83 3.16 3.15 0 70.29
050030XX97000X 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む),再発性心筋梗塞 その他の手術あり 処置等1 なし,1あり 処置2なし 定義副傷病なし 81 12.99 12.52 2.47 68.33

循環器内科における診療の大きな柱は、虚血性心疾患への対応です。急性心筋梗塞や不安定狭心症などの急性冠症候群に対しては、緊急の対応が必要ですので、24時間365日循環器内科の医師が院内で勤務をして、迅速に対応できるようにしています。急性心筋梗塞の平均年齢、在院日数、転院率は昨年よりもいずれも低い値となりました。高齢化を上回って、発症年齢が若年化しているのかもしれません。慢性虚血性心疾患においては、平均年齢は70歳前後で、検査のみであれば平均在院日数が4日以下となっています。適応を十分に考慮し、検査時のアプローチについても遠位橈骨動脈など侵襲度を低くする工夫をし、できるだけ短期間で退院できるようにしています。治療適応の判断にあたっては、心筋虚血の有無が重要ですので、血流予備比などの測定を心臓カテーテル検査時に積極的に行っています。冠動脈形成術の場合も、事前に適応や治療方針など十分な検討を行い、また低侵襲による合併症予防を図ることにより、できるだけ短期間の入院となるようにしています。 近年では不整脈に対するカテーテルアブレーション治療も、診療の柱となっています。治療技術の進歩により、徐々に適応は拡大していますが、平均年齢は65歳以下となっており、平均在院日数は5日です。症例数が増加していますが、クライオアブレーションを導入するなどして1日あたりの治療件数を増加させ、外来での予約から入院までの日数が長くならないようにしています。表には挙がりませんでしたが、全国的な傾向と同様に、多くの高齢心不全患者が入院しています。全国平均を上回る高齢化地域ですので、特にそれを実感します。迅速な心不全コントロールによる在院日数の短縮、適切な原因精査と十分な治療による再入院の予防に努めています。ただし、積極的な精査加療を望まれない患者も増えており、アドバンスケアプランニング、緩和医療も実践しています。 また、適切な入院適応判断や早期からのソーシャルワーカーの介入、かかりつけ医、往診医との連携により、転院率も低く抑えるようにしています。

小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040090XXXXXX0X 急性気管支炎,急性細気管支炎,下気道感染症(その他) 定義副傷病なし 133 7.6 6.19 0 0.81
0400801199X00X 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 122 7.5 5.71 4.1 3.53
040100XXXXX00X 喘息 処置2なし 定義副傷病なし 118 6.12 6.62 7.63 3.94
150040XXXXX0XX 熱性けいれん 処置2なし 105 3.94 3.83 0 2.28
110310XX99XX0X 腎臓または尿路の感染症 手術なし 定義副傷病なし 95 12.73 12.58 4.21 1.39

当院小児科が果たすべき役割は久留米地区を中心とした福岡県南部という1つの医療圏において、小児救急医療を行う事です。現在 新型コロナウイルス小児患者の入院を受け入れながらも、24時間365日 救急疾患に対して対応可能な中核病院であり続けることが求められています。
入院となる患児の特徴としては、小児救急疾患の代表である呼吸器感染症/アレルギー(急性気管支肺炎、細気管支炎、上気道炎:新生児/乳児発熱、気管支喘息発作など)が多く占めています。診療ガイドラインが推奨する新規経口抗菌薬や吸入ステロイド薬が浸透している現状でも、点滴加療の必要な中等症以上が入院加療を行っています。マイコプラズマのマクロライド耐性ケースも増加傾向にあり、治療に苦慮しています。また 救急車搬入される緊急性の高い疾患として、けいれん重積発作(複雑型熱性けいれん、てんかん発作、脳炎脳症など) 意識障害などの中枢性疾患は重症観察室において入院対応を行っています。いかなる時間帯においても検査:ビデオ脳波、頭部CT・MRI/MRAなどを行い、迅速な診断 適切な初期対応と治療に努めています。近隣の医療機関から紹介される乳児発熱の原因として、尿路感染症が挙げられます。原因菌として耐性菌 ESBL産生大腸菌などが検出され、個々のケースで感受性に準じた抗菌薬選択が必要となり入院期間も1週間を超える事が多くなっています。

小児循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
14031XX09910XX 先天性心疾患(動脈管開存症,心房中隔欠損症を除く)(1歳以上) 手術なし 処置1あり 処置2なし 43 5 4.24 0 12
14029XXX97X0XX 動脈管開存症,心房中隔欠損症 その他の手術あり 処置2なし 39 5.51 6.45 0 8.9
14029XXX9900XX 動脈管開存症,心房中隔欠損症 手術なし 処置1なし 処置2なし 25 2 5.38 0 6.48
14029XXX9910XX 動脈管開存症,心房中隔欠損症 手術なし 処置1あり 処置2なし 4.26
14031XX103X0XX 先天性心疾患(動脈管開存症,心房中隔欠損症を除く)(1歳未満) 心室中隔欠損閉鎖術 単独のもの等 処置2なし 20.59

2020年の総務省統計局の発表では、日本の子どもの数(15歳未満)は1,512万人で前年度より20万人減少し、総人口に占める割合は12.0%となっています。1982年より39年連続で低下しているのが現状です。対して久留米市では子どもの数(15歳未満)は45,433人で人口に占める割合は14.9%、国の平均よりやや高くなっています。また年間の出生数は約2,500-2600人で、合計特殊出生率は全国の中では高い位置にあります。これは久留米市周辺が、教育環境、生活環境が整い、いつでも受診できる当院のような病院があることも寄与していると思います。周辺の市町村まで合わせると約4,000人から5,000人前後が出生していると推定されます。一方、出生時に何らかの心臓の問題を抱えている新生児は約1%で、これらから久留米周辺で生まれつき心臓に問題がある子どもたち(先天性心疾患)は毎年40人から50人ずつ増加していると仮定できます。
先天性心疾患は沢山の種類と疾患の組み合わせがあるため非常に複雑なのですが、統計では心室中隔欠損症、肺動脈弁狭窄症、心房中隔欠損症、ファロー四徴症、動脈管開存症の5種類の頻度が高く、全体の約85%を占めています。DPC分類上は数字に表れにくいところですが、当院でも同様です。当科ではそれ以外の生まれた後にかかってしまう川崎病後心後遺症、不整脈、心筋疾患の患児、患者さんも診療しています。 
現在、小児循環器内科と標榜はしていますが、受診される方は生後0日から86歳までと幅が広いのも特徴です。理由としては当院は約40年前(1980年)から先天性心臓病の手術を行っているため、成人になった先天性心臓病の方たちのフォローアップなどをおこなっていることや、カテーテルなどでの治療技術が進歩したことにより成人で発見された先天性心疾患の方々が九州一円より紹介していただいているためです。
当科の外来受診者数は2015年2,860人、2016年3,013人、2017年3,071人、2018年3,105人、2019年3,080人と増加し、成人先天性心疾患の患者さんも多くなってきたため、循環器内科の先生方と協力し成人先天性外来を開設しています。仕事や遠方のためなかなか受診できない方、開業の先生方で治療方針を悩むような方々の受け皿となる外来です。

新生児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010X199X00X 妊娠期間短縮,低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 96 7.97 6.17 0 0
140010X199X1XX 妊娠期間短縮,低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 処置2 1あり 37 15.03 11.34 5.41 0
040090XXXXXX0X 急性気管支炎,急性細気管支炎,下気道感染症(その他) 定義副傷病なし 12 7.58 6.19 0 0
140010X299X0XX 妊娠期間短縮,低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 処置2なし 12 16.25 11.32 0 0
140010X199X3XX 妊娠期間短縮,低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 処置2 3あり - - 15.81 - -

当院の総合周産期母子医療センターでは、筑後地域の一般産院で出生した病的新生児や低出生体重児への緊急搬送入院、および高度周産期医療施設として当院産科で管理を行っているハイリスク母体から出生した新生児として低出生体重児などへの対応をしています。
そのため、この当院産科部門で管理しているハイリスク母体から、早産児として出生した、出生体重が1,500g以上2,500g未満、あるいは2,500g以上の新生児が多く入院管理しています。これらの早産児は、新生児自体には染色体異常などの基礎疾患は無いものの、早産に伴う呼吸障害など、多岐にわたる障害の治療を行なっています。呼吸障害に対しては、酸素投与のみで改善するような症例が多いですが、呼吸障害が顕著で人工呼吸器管理が必要な症例も多く管理しています。
これとは別に、一般産院で出生した新生児で、予期せぬ新生児仮死や呼吸障害など、緊急搬送の対象となる正期産の新生児など、人工呼吸器管理を含めた多岐にわたる疾患に対して、積極的な全身管理が必要な新生児も多く管理しています。

外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060335XX02000X 胆嚢水腫,胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 109 8.81 7.3 3.67 61.7
060035XX99X60X 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 手術なし 処置2 6あり 定義副傷病なし 72 6.25 4.41 1.39 68.44
060035XX01000X 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除,亜全切除又は悪性腫瘍手術等 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 62 21.82 15.3 11.29 72.47
060035XX99X80X 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 手術なし 処置2 8あり 定義副傷病なし 57 6.82 4.44 0 72.77
060160X001XXXX 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 46 8.35 4.96 8.7 69.74

当院は、地域の「救命救急センター」でありかつ、「地域がん診療連携拠点病院」です。その中心科の一つである外科は消化器外科、乳腺外科、移植外科から成り、2020年7月現在、スタッフ9名、専修医5名、総勢14名で構成されています。また2018年から治療体系を統一すべく、上部消化器(胃、肝胆膵・移植)、下部消化管(結腸、直腸、一般外科)、乳腺、Acute Care Surgery の4つのチームを作り、臓器別診療を行っています。
<診療実績>2019年の総手術件数は、1071件であり、定例手術640件、緊急手術431件と、年間10,000台超の救急搬送を受け入れる救命救急センターの外科として緊急手術が全体の1/3を占めています。また地域がん診療連携拠点病院として年々がんの手術件数は急増しており、2019年は400例を超えています。
消化器管疾患は、上部消化管、下部消化管ともに腹腔鏡下手術がメインで、全体の80%超を占めています(2019年、胃がん56例、結腸・直腸がん137例)。特に2018年4月からはロボット支援下手術を導入しており、現在までにすでに70例超の胃がん症例と5例の直腸がん症例を実施し、今後他の手術にも対応していく予定です。
乳腺外科は地域の総合病院としての特性を生かしつつ、手術(乳房再建を含む)から内分泌・化学療法、放射線治療、さらにはリンパ浮腫治療に至るまでの質の高いオーダーメイド治療を実践しており、年々症例数が増加しています(2019年、乳がん94例)。
肝胆膵疾患は、腹腔鏡下手術から、肝移植の技術を応用した高難度手術まで実践しており(2019年、肝胆膵がん72例)、現在は日本肝胆膵外科学会の高度技能専門医修練施設Bを取得しています(現在修練施設A取得に向け準備中)。また移植外科は2015年11月に新設され、年間10例程度の生体腎移植を実施しています(現在40例)。2019年からは献腎移植実施施設として献腎移植登録も行っています。
一般外科として、胆石症、ヘルニアの手術を実施しており、2019年に胆石症の手術である胆嚢摘出術は145例(腹腔鏡下は96.5%)、ヘルニア根治術は74例(前方アプローチ78.4%、腹腔鏡下21.6%)実施しています。
<治療成績>2018年、院内臨床研究倫理委員会の審査の下、外科の7大がん(食道がん、胃がん、大腸がん、肝がん、胆道がん、膵がん乳がん)の後ろ向き予後調査を開始し、現在病院ホームページにそれぞれの癌の5年生存率を公表しています(結果はこちら)。ぞれぞれに国立がん研究センターが示した全国のがん診療拠点病院の成績と遜色ない結果となっています。また毎年、患者さんの施設選択の参考となるように、当院での各疾患の症例数と合併症についてホームページで公開しています(外科紹介ページ)。

乳腺外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010XX01X0XX 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む))等 処置2なし 68 13.41 10.59 0 58.74
090010XX99X4XX 乳房の悪性腫瘍 手術なし 処置2 4あり 42 8.45 4.28 0 57.12
090010XX97X40X 乳房の悪性腫瘍 その他の手術あり 処置2 4あり 定義副傷病なし 26 6.81 6.54 3.85 54.12
090010XX02X0XX 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 処置2なし 21 8.95 6.23 0 57
090010XX99X6XX 乳房の悪性腫瘍 手術なし 処置2 6あり 11 6.91 4.15 0 54.55

当院は、地域がん診療連携拠点病院として乳がん治療に対し専門的なスタッフをそろえ、診断、手術(乳房再建含む)、薬物治療、放射線治療、リンパ浮腫治療など乳がん治療に必要なすべての治療行うことができます。当院では年間約100例の乳癌定型手術を行っています。乳がん治療を一貫して行える当院では、再発患者さんが紹介されることも多く、化学療法はより安全に行えるように静脈ポート(持続注入用植込型カテーテル)を留置しています。
進行した乳がん患者さんには、緩和ケアチームの医師・看護師、精神科の医師などとともに診療にあたり、患者さんの苦痛を取り除けるように心がけています。患者さんの状況に応じて入院での治療も受けられるようしており、入院中は乳がん看護認定看護師や薬剤師もサポートしながら患者さんが安心して治療を受けていただける体制をとっています。

移植外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280XX991X0X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1あり 定義副傷病なし 16 4.13 7.18 0 41.69
110310XX99XX0X 腎臓または尿路の感染症 手術なし 定義副傷病なし - 12.58
110280XX99000X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし - 12.05
110280XX97X00X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 その他の手術あり 処置2なし 定義副傷病なし - 16.27
060340XX99X00X 胆管(肝内外)結石,胆管炎 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし - 9.81

現在、国内では約34万人の末期腎不全の患者さんがおられ、そのうち90%以上の方が血液透析を選択されています。腎移植は毎年1600人にとどまり、今なお約1万3000人の方が腎移植を希望されて待っています。肝臓に関しては年間5万5千人の方が肝臓病(末期肝不全、肝がんなど)で亡くなられ、毎年2600人の方が肝移植の適応になると推定されています。それに対して肝移植は生体・脳死肝移植合わせて毎年400例超が行われているに過ぎません。
この筑後地区でも一人でも多くの方に、移植で助かる命があることをご理解いただき、一人でも多くの方が移植医療を通して救われることを願い、2015年7月より当院にて移植外科外来を開始いたしました。そして同年11月より生体腎移植プログラムを開始し、2020年7月までに40例の生体腎移植手術を行っています。
<取り扱う主な疾患>
対象疾患:IgA腎症、糖尿病性腎症、多発性嚢胞腎、腎硬化症、巣状糸球体硬化症、ループス腎炎、アルポート症候群など、慢性腎不全全般
腎移植は、腎臓の機能が低下し、透析をしないと、あるいは1年以内に透析を導入しないと尿毒症から命の危険が高くなる方が対象となります(具体的にはGFRが15 ml/min以下の方が対象になります)。ただし、腎移植手術が受けられないほどに心肺機能が低下している方、活動性の感染症がある方、治療中の悪性腫瘍がある方などは、基本的に移植の適応外となります。
年齢は70歳を一応の上限としています。ドナーとなる方と血液型が違っても必ずしも適応外とはなりません。当科の特徴として、血液型不適合移植や夫婦間移植、そして透析を導入する前に移植を行う先行的腎移植を積極的に行なっています。
<献腎移植について>
当院は献腎移植が可能な医療機関として認定されており、2019年1月10日より登録受入れを開始し、2020年7月現在20例の登録を実施しています。
献腎移植は、亡くなられた方から腎臓を提供していただく移植のことです。献腎移植には心臓死からの移植と脳死からの移植があります。献腎移植を受けるには、まず移植が可能な医療機関を受診するなどし「日本臓器移植ネットワーク」に移植希望登録することが必要です。

小児外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160X101XXXX 鼠径ヘルニア(15歳未満) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 170 2.75 2.82 0 4.05
140590XX97XXXX 停留精巣 手術あり 68 2.63 3.14 0 2.5
060150XX03XXXX 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 43 7.58 5.49 0 10.84
140580XX03XXXX 先天性下部尿路疾患 尿膜管摘出術等 32 3.78 6.2 0 0.78
060170XX02XXXX 閉塞,壊疽のない腹腔のヘルニア ヘルニア手術 腹壁瘢痕ヘルニア等 31 2.32 8.26 0 1.39

鼠径ヘルニアと停留精巣は、小児外科の定例手術の中心となる疾患です。例年通りの手術が行われており、在院日数も短期間です。
救急疾患である虫垂炎は、患者さんやご家族の希望も考慮して、手術療法と保存的治療の何れかを選択します。手術療法での在院期間は虫垂周囲膿瘍の有無で差は生じませんが、保存的治療では必然的に虫垂周囲膿瘍が有る患者さんの在院期間は長くなりますので、全体的な結果として在院日数の差が認められます。
尿膜管遺残症に対して早期診断が可能になったことにより、乳児期での尿膜管摘出症例が増加していますが最低限の在院日数で治療を完遂しています。
その他、直腸肛門奇形、ヒルシュスプルング病、先天性胆道拡張症、胆道閉鎖症などに代表される小児外科独特の疾患の治療も広範に行っており、 積極的に鏡視下手術を導入することで可能な限りの侵襲低減に努めています。

形成外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160200XX0200XX 顔面損傷(口腔,咽頭損傷を含む) 鼻骨骨折整復固定術等 処置1なし 処置2なし 64 9 5.37 1.56 30.89
140140XXXXXXXX 口蓋・口唇先天性疾患 56 10.5 9.46 0 7.71
070010XX970XXX 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く) その他の手術あり 処置1なし 27 4.26 4.86 0 28.74
080007XX010XXX 皮膚の良性新生物 皮膚,皮下腫瘍摘出術(露出部)等 処置1なし 26 6.08 4.05 0 27.12
020230XX97X0XX 眼瞼下垂 手術あり 処置2なし 22 2.64 3.15 0 72.18

救急疾患に関しては原則断らない方針としており(ただし緊急手術中は除きます)、顔面外傷や熱傷患者が多くなっています。上記以外にも、切断指や重度四肢外傷も手術治療を行なっています。また、当科は開設当初から先天性疾患を多く治療しており、口唇口蓋裂に関しては口唇口蓋裂センターを立ち上げ、院内の他職種と連携したチーム医療を実践しています。そのほか入院が必要な小児や高齢者の皮膚腫瘍の治療や眼瞼下垂症の手術も行っています。ここ数年はリンパ浮腫治療に力を入れており、外来でのマッサージや圧迫療法、入院によるリハビリテーションや手術治療も積極的に行っています。

整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800XX01XXXX 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩,股等 354 27.1 26.3 93.22 82.29
160690XX99XX0X 胸椎,腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む) 手術なし 定義副傷病なし 107 16.58 19.61 93.46 79.25
160760XX97XXXX 前腕の骨折 手術あり 105 10.51 5.68 10.48 37.57
160980XX99X0XX 骨盤損傷 手術なし 処置2なし 63 18.73 19.32 85.71 75.73
160740XX01XX0X 肘関節周辺の骨折・脱臼 骨折観血的手術 肩甲骨,上腕,大腿等 定義副傷病なし 52 5.85 5.55 1.92 17.06

大腿骨近位部骨折、脊椎圧迫骨折、橈骨遠位端骨折は高齢者の3大骨折です。
大腿骨近位部骨折は入院して手術を行う必要があります。早めに手術して歩行訓練などのリハビリを行います。骨粗鬆症の治療も並行して行います。
脊椎圧迫骨折は、変形しないように3カ月間のコルセット装着を行います。通常はコルセットで治療しますが、破壊(骨の損傷)が高度な場合や麻痺のある場合には、手術治療を行うこともあります。
当院は小児の骨折(肘、前腕など)も多く来院されます。通常はギプス固定などの治療を行いますが、転位(骨のズレ)が大きい場合は手術を行います。小児骨折は、骨癒合しやすい変形が成長とともに改善する自家矯正などの特徴があります。しかし、成長障害を起こすこともあるので骨癒合した後も定期的に経過観察します。
橈骨遠位端骨折(前腕手首側の骨折)はギプス固定による治療を行いますが、転位が大きい場合や関節内骨折は手術治療をおすすめします。
近年は、高齢化に伴い脆弱性骨盤骨折が増加傾向です。通常はリハビリで治療しますが、疼痛が強く離床できない場合は低侵襲の手術治療を行うこともあります。

呼吸器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040XX97X0XX 肺の悪性腫瘍 手術あり 処置2なし 41 14.59 11.87 0 71.39
040200XX01X00X 気胸 肺切除術等 処置2なし 定義副傷病なし 38 9.37 10.08 0 30.87
040030XX01XXXX 呼吸器系の良性腫瘍 肺切除術 気管支形成を伴う肺切除等 9.29
160450XX99X10X 肺・胸部気管・気管支損傷 手術なし 処置2あり 定義副傷病なし 10.81
040200XX97X00X 気胸 その他の手術あり 処置2なし 定義副傷病なし 17.03

肺がんに関しては、ロボット支援下手術、胸腔鏡手術、開胸手術と全てのアプローチ法が可能で、患者さん・病態に応じて最善の方法を提案させていただいています。また、地域連携パスにも積極的に参加し、地域の先生方と連携しながら対応をしています。
気胸に関しては、20歳以下の成長期の気胸から成人まで対応しています。また難治性気胸にも対応しています。
胸部外傷はもちろん、患者さんのQOLを改善させる難治性胸水の治療、膿胸、めずらしいところでは難治性の吃逆まで対応しています。
幅広い呼吸器外科領域に対応し、地域の先生方と連携しながら、地域の患者さんのため、積極的に取り組んでいます。

脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160100XX99X00X 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 155 10.41 7.35 18.06 46.01
160100XX97X00X 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 処置2なし 定義副傷病なし 108 13.44 9.69 17.59 70.91
010040X099000X 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 97 21.33 18.72 67.01 69.12
010040X199X00X 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上) 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 34 22.91 21.23 67.65 74.88
010030XX9910XX 未破裂脳動脈瘤 手術なし 処置1あり 処置2なし 23 3.09 3.02 0 62.48

当脳神経外科の役割は、「筑後地域において24時間365日、赤ちゃんから高齢者まで、いつでも迅速に、専門的な診療・手術ができる」というものと考えています。
当院では年間10,000件を超える救急搬入があり、年々増加しています。脳神経外科としても救急疾患がメインとなっています。特に頭部外傷と脳卒中が多く、中でもくも膜下出血は合計で年間50から60件前後の搬入件数が多くあります。
脳神経外科と脳血管内科が中心となる脳神経センターでは小児神経外科認定医が誕生するなど体制整備が進み、より充実した人員のもとで数多くの疾患に対応しています。
〇日本脳神経外科学会 専門医:8人(うち指導医4人)
〇日本脳神経血管内治療学会 専門医:4人 指導医:1人
〇日本脳卒中学会 専門医:4人
〇日本神経内視鏡学会 技術認定医:2人
〇日本小児神経外科学会 認定医:1人
〇日本内分泌学会 内分泌代謝科(脳神経外科)専門医:1人
2019年度から、新たに専門外来として「赤ちゃんのあたまのかたち外来」を開設しました。「寝ぐせ」によると言われている、いわゆる絶壁頭(変形性短頭症)や斜めに歪んだ後頭部(変形性斜頭症)の赤ちゃんだけでなく、病的な症候群性頭蓋縫合癒合症(クルーゾン病やアペール症候群など)をも対象としたものであります。寝ぐせによる多くの軽症例では体位指導やマッサージなどで改善していきますが、重症例では専用のヘルメットを装着することで整った形状に誘導するヘルメット療法が有効です。また症候群性のものに対しては内視鏡的に縫合切除などが有効です。

糖尿病内分泌内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100070XX99X100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く)(末梢循環不全なし) 手術なし 処置2 1あり 定義副傷病なし 85歳未満 24 11.38 13.9 8.33 60.17
100070XX99X110 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く)(末梢循環不全なし) 手術なし 処置2 1あり 定義副傷病あり 85歳未満 19 10.37 15.51 0 63.26
100071XX99X110 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く)(末梢循環不全あり) 手術なし 処置2 1あり 定義副傷病あり 85歳未満 18 12.72 15.14 0 64.44
100040XXXXX00X 糖尿病性ケトアシドーシス,非ケトン昏睡 処置2なし 定義副傷病なし 17 12.29 13.5 0 38.18
100070XX99X000 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く)(末梢循環不全なし) 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 85歳未満 17 8.65 11.05 0 63

当科は糖尿病教育入院を入院診療のメインにしています。教育入院の期間は1週間で、年28回のスケジュールを設けています。参加者は2型糖尿病が多数ですが、1型糖尿病病や妊娠糖尿病もおられます。また、糖尿病合併妊娠の血糖コントロールも担当しており、1型糖尿病合併妊娠の場合はCSIIやSAPといったインスリンポンプ療法を行っています。
緊急入院としては、高血糖緊急症(ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群)や低血糖症の治療も担当しています。高血糖は治療中断が原因になることが多く、低血糖の大半は高齢者です。

心臓血管外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080XX01010X 弁膜症(連合弁膜症を含む) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 処置1なし 処置2 1あり 定義副傷病なし 17 23.82 24 35.29 71.82
050163XX03X0XX 非破裂性大動脈瘤,腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 処置2なし 16 13.5 12.01 0 74.31
050161XX97X10X 解離性大動脈瘤 その他の手術あり 処置2 1あり 定義副傷病なし 12 28.92 28.37 50 71.08
050170XX03000X 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 処置等1 なし,1あり 処置2なし 定義副傷病なし 11 8.91 5.5 9.09 69
050163XX02X10X 非破裂性大動脈瘤,腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等 処置2 1あり 定義副傷病なし 10 16.5 20.61 10 72.3

当科が対象とする疾患は心臓弁膜症、冠動脈疾患(狭心症や心筋梗塞)、大動脈疾患(真性、解離性大動脈瘤や急性大動脈解離)先天性心疾患、血管疾患です。先天性心疾患は小児循環器内科の手術対象となるものも含みます。弁膜症でも動脈硬化性の大動脈弁狭窄症、変性による僧帽弁閉鎖不全症が増加傾向です。病因・病変などを検討して人工弁置換術か弁形成術かを決定します。急性大動脈解離、胸部大動脈瘤破裂は突然の胸背部痛にて発症しタイミングを逸すると死に至る病気です。当院の救命救急センターや近隣の救急病院と連携・提携してより多くの患者さんを救命できるように努めています。腹部大動脈瘤に対しては解剖学的適応があればステントグラフト留置術を、適応が合わない場合は開腹手術を行っています。末梢動脈の閉塞性疾患に対する血行再建療法としてはカテーテルでのステント内挿術、血栓除去術、および人工血管によるバイパス手術があります。病変部位や開存性などを考慮して術式を選択しています。これら血管造影を用いた手技の場合は全例専用のハイブリッド手術室で手技を行っています。

精神科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
161070XXXXX00X 薬物中毒(その他の中毒) 処置2なし 定義副傷病なし 18 10.83 3.56 27.78 33.39
170020XXXXXX0X 精神作用物質使用による精神および行動の障害 定義副傷病なし 2.78
160450XX99X10X 肺・胸部気管・気管支損傷 手術なし 処置2あり 定義副傷病なし 10.81
170020XXXXXX1X 精神作用物質使用による精神および行動の障害 定義副傷病あり 5.85
160870XX99X00X 頸椎頸髄損傷 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 12.48

総合病院精神科の役割として、精神科疾患患者の身体合併症の治療に重点を置き、骨折などの外傷や消化器疾患など身体的加療が必要な症例を周辺の施設から多数受け入れています。当院の精神科病棟は閉鎖病棟ですが、がん治療も行っており、近年は必要な患者さんに緩和ケア的な加療も身体科と連携して行っています。また、2012年11月から多職種で構成される精神科リエゾンチームを立ち上げ、一般身体科病床に入院した精神疾患の患者さん、せん妄・認知症などに対応しています。精神科リエゾンチームへの依頼件数は2019年度は1093件にのぼり、毎日チーム回診を実施し(年間3686件の往診)、多様なニーズに対応しています。
当院の特徴である救急医療分野では、救命救急センターに搬送された自殺未遂患者や混乱状態にも精神科リエゾンチームで介入しています。毎年約100人前後の自殺未遂者の治療に救急科と連携してあたっており、必要に応じて精神科身体合併症看護認定看護師、社会福祉士(精神保健福祉士)、心理士などが環境調整や生活上の問題などの相談を受け、精神科的治療継続の促進や再企図の防止に取り組んでいます。また、刃物などでの自傷や墜落外傷の患者さんには、安全性の高い閉鎖病棟に入院のうえ、身体的・精神科的加療、身体的なリハビリテーションに取り組んでいます。

産婦人科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180XX01XXXX 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 140 10.36 9.7 0 32.93
12002XXX99X40X 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 処置2 4あり 定義副傷病なし 66 7.91 4.85 0 62.11
120170XX99X0XX 早産,切迫早産 手術なし 処置2なし 62 17.63 19.69 8.06 29.61
12002XXX02X0XX 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 処置2なし 61 5.46 3.2 0 40.52
120010XX99X50X 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 処置2 5あり 定義副傷病なし 60 7.67 4.61 0 56.38

産婦人科は、「産科」と「婦人科」の診療を担っており、入院病棟は基本的に別に設けています。
産科では、健康保険と自費併用の患者さんが多く、一般的な分娩は、DPC上の集計対象外となることにご留意ください。産科は総合周産期母子医療センターを担っているため、近隣の産婦人科医院よりハイリスク症例の外来紹介や母体搬送を多く受け入れています。切迫早産、早産期の前期破水、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病が主要な疾患です。双胎妊娠、胎児発育不全、精神疾患合併妊娠や高年妊娠、更には特定妊婦なども他職種と連携して診療しているのが当科の特徴です。DPCにもその特徴が反映されています。 
婦人科では、各疾患に対応したクリニカルパスを使用して、質の高い医療を効率的に提供しています。手術は子宮・卵巣の良性腫瘍に対する開腹手術が腹腔鏡手術へ移行し、徐々に症例数も増加してきています。悪性腫瘍は日本婦人科腫瘍学会の専門医を中心に手術(開腹、腹腔鏡)、化学療法、放射線療法、ほか緩和医療まで集学的な診療を行っています。近年、若年者や高齢者の患者さんも増加してきており、個々の症例に応じて、女性のライフプランも考慮した治療を積極的に行っています。

眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110XX97XXX0 白内障,水晶体の疾患 手術あり 片眼 229 3.07 2.84 0.44 76
020200XX9710XX 黄斑,後極変性 手術あり 処置1あり 処置2なし 83 6.48 7.05 1.2 69.41
020160XX97XXX0 網膜剥離 手術あり 片眼 82 11.24 9.75 1.22 57.44
020180XX97X1X0 糖尿病性増殖性網膜症 手術あり 処置2 1あり 片眼 48 4.27 10.5 0 58.29
020200XX9700XX 黄斑,後極変性 手術あり 処置1なし 処置2なし 29 6.03 6.55 0 68.83

網膜剥離は、治療が遅れると視力障害を残したり、失明する可能性のある疾患です。当科ではできるだけ早急に手術を行うことを心がけ、良好な手術成績を残しています。また黄斑前膜、黄斑円孔、糖尿病網膜症などの網膜疾患に対する硝子体手術に特に力を入れています。また緑内障手術にも力を入れており、流出路再建術、濾過手術だけでなく、チューブシャント手術もできる体制です。昨年からは水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術(iStent手術)も開始しました。最新の手術用顕微鏡、広角眼底観察システム、硝子体手術装置を2台ずつ導入し、安全かつ低侵襲の手術を目指しています。

耳鼻いんこう科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030230XXXXXXXX 扁桃,アデノイドの慢性疾患 186 7.91 7.89 0 16.81
030428XXXXXXXX 突発性難聴 77 13.08 9.02 0 48.86
030350XXXXXXXX 慢性副鼻腔炎 56 7.95 7.04 0 52.05
030440XX01XXXX 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫 鼓室形成手術 29 7 8.29 0 45.66
030240XX99XXXX 扁桃周囲膿瘍,急性扁桃炎,急性咽頭喉頭炎 手術なし 25 5.96 5.43 0 36.96

当科での手術は、慢性扁桃炎、扁桃肥大・アデノイド増殖症、慢性副鼻腔炎に対して行うものが多くなっています。また扁桃周囲膿瘍、急性喉頭蓋炎など入院を要する急性の炎症性疾患に対する加療も行っています。慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎や外リンパ瘻による耳性めまい・難聴に対する手術も増加傾向です。内視鏡下での耳科手術は傷が小さく、入院期間が4日間と患者さんの負担も軽減されています。当院は高気圧酸素療法を施行できるため、急性難聴の患者さんを多数ご紹介をいただいています。

皮膚科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080020XXXXXXXX 帯状疱疹 43 8.51 8.98 0 69.09
080010XXXX0XXX 膿皮症 処置1なし 30 10.93 12.51 3.33 70.93
080100XXXX0XXX 薬疹,中毒疹 処置1なし 10.65
080080XXXXXXXX 痒疹,蕁麻疹 6.36
070560XX99X00X 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 15.58

当院は救急病院であり、皮膚科の入院患者は感染症が大部分を占めています。ウイルス感染症の帯状疱疹と細菌感染症の蜂窩織炎・丹毒が主体となっています。感染症以外では、全身症状を伴う重症型薬疹やウイルス性発疹症も比較的多い状況です。

泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080XX991X0X 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 処置1あり 定義副傷病なし 74 2.32 2.53 0 69.85
110070XX0200XX 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 処置1なし 処置2なし 61 6.43 7.2 0 74.82
110310XX99XX0X 腎臓または尿路の感染症 手術なし 定義副傷病なし 42 11.43 12.58 14.29 70.29
11012XXX020X0X 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 処置1なし 定義副傷病なし 37 5.76 5.62 0 65.14
110070XX99X20X 膀胱腫瘍 手術なし 処置2 2あり 定義副傷病なし 21 16.1 10.97 0 78.1

当科において入院患者数が最も多いのは、前立腺がん疑いで前立腺生検のため入院する患者さんです。経直腸的前立腺生検を一泊二日で行っています。前立腺がん患者さんは年々増加しており、可能な限り早期発見に努めています。次に多いのが膀胱がんです。多くは表在性膀胱がんであり、それらに対し経尿道的切除を行っています。膀胱がんは膀胱内再発の多いがんであり、再発予防のため外来にて膀胱内に薬剤を入れる膀胱内注入療法などを行ったりし、できるだけ膀胱を温存できるようにしています。また、浸潤性膀胱がんや転移性膀胱がんに対しては抗がん剤治療も積極的に行っています。次に多いのが尿路感染症です。当院は救急病院であり、尿管結石などによる閉塞性腎盂腎炎からの敗血症のような重症感染症も多く、できるだけ早く尿管ステント留置などにより閉塞解除するようにしています。それに続くのが尿管結石症で経尿道的結石除去術を受ける患者さんです。当院では体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や経皮的尿路結石除去術(PNL)も行っており、症例により適切な治療法を選択しています。

腎臓内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280XX99000X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 53 15.49 12.05 13.21 66.02
100393XX99XXXX その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害 手術なし 18 14.61 10.03 33.33 76.06
110280XX02X00X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術,吻合術 その他の動脈等 処置2なし 定義副傷病なし 13 12.08 8.75 7.69 76.06
100391XXXXXXXX 低カリウム血症 12 11.92 12.67 16.67 59.42
110260XX99X0XX ネフローゼ症候群 手術なし 処置2なし 10 32.3 21.4 10 49.9

腎疾患に関しては、検尿異常・腎生検・腎炎の治療まで行います。たとえばIgA腎症では腎生検後診断および重症度を判定して適応があれば、耳鼻咽喉科に依頼し、扁桃摘出を検討していただき、さらに当科でステロイドパルス療法を行っています。腎不全に関しては積極的に腎不全の進展予防に努め教育入院なども行っていますが末期腎不全に至った場合はアクセスを作成し、血液透析・腹膜透析へ導入します。2015年からは院内で生体腎移植が可能となり順調に症例数を伸ばしています。電解質異常はナトリウム、カリウム、カルシウムの異常が多く、精査を行い治療に当たります。その他急性腎不全も担当していますが、他の科の重症患者であることが多く、表の中には上がっていません。

透析内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280XX02X1XX 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術,吻合術 その他の動脈等 処置2 1あり 18 39.06 35.72 16.67 64.33
110280XX99010X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1なし 処置2 1あり 定義副傷病なし 15 19.33 14.21 6.67 65.2
110280XX99000X 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 13 20.69 12.05 23.08 65.54
180040XX99X0XX 手術・処置等の合併症 手術なし 処置2なし 12 9.58 9.93 25 69.92
060270XX97X0XX 劇症肝炎,急性肝不全,急性肝炎 手術あり 処置2なし 22.83

透析内科では維持透析患者(血液透析、腹膜透析)の合併症や併発症の診断・治療を行っています。多くは肺炎などの内科的な併発症や不明熱の精査、アクセストラブル(シャント、腹膜カテーテルなど)の加療目的での入院です。

救急科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
161070XXXXX00X 薬物中毒(その他の中毒) 処置2なし 定義副傷病なし 60 6.07 3.56 23.33 46.48
030400XX99XXXX 前庭機能障害 手術なし 49 3.9 5.1 8.16 68.29
160100XX99X00X 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 32 3.13 7.35 12.5 44.81
170020XXXXXX0X 精神作用物質使用による精神および行動の障害 定義副傷病なし 31 1.94 2.78 0 55.35
161020XXXXX00X 体温異常 処置2なし 定義副傷病なし 22 6.45 5.73 27.27 59.45

当院救命救急センターは、病院運営方針にも掲げられた「救命救急医療を通じ、断らない医療を推進する」を基本原則に、年間10,000件以上の救急搬送患者を受け入れています。当科の常勤医は12名です(救急科専門医4名、整形外科専門医1名、脳神経外科専門医1名、外科専門医1名、循環器専門医1名)。24時間365日救急専従医が初療を担うシフトを組んでいます。各診療科と連携を取り、24時間365日、さまざまな救急疾患に対応できる診療体制を整えています。
救急科では初期対応を行い、必要に応じ各専門診療科に引き継ぎをしますが、重症度の高い多臓器にまたがる患者さんや、特に多発外傷や中毒などの重症患者については救急科が主治医となり入院治療を行います。当科が診療を担当する最も多いのは中毒患者で、精神科などと連携を取り対応を行っています。数日で退院できる患者さんも多いですが、重症患者は集中治療室での管理を行います。その他、多様な疾患を抱え、かつ患者さんを他科へ転科することの多い当科ではDPC上の統計に表れにくいですが、頭部外傷や誤嚥性肺炎、前庭機能障害といった患者さん、並存疾患を持つ高齢者の診療も多く受け持っています。

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

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初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 54 10 25 82 1:UICC TNM分類 第7版
大腸癌 27 15 39 186 16 143 1:UICC TNM分類 第7版
乳癌 15 21 1:UICC TNM分類 第7版
肺癌 23 47 110 10 67 1:UICC TNM分類 第7版
肝癌 14 1:UICC TNM分類 第7版

※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

当院は地域がん診療連携拠点病院として指定を受け、がん治療を積極的に提供しています。UICC病期分類とは、UICC病期国際対がん連合によって定められた、①原発巣の大きさと進展度、②所属リンパ節への転移状況、③遠隔転移の有無の3つのカテゴリーによってがんを早期(I期)から末期(Ⅳ期)に分類したものです。当院を受診されるがん患者さんの特徴として、Ⅲ、Ⅳ期の患者さんや、再発の患者さんが多い傾向にあります。進行したがんや再発がんの治療は難しくなりますが、2020年度よりキャンサー・ケア・センター(CCC)を設置し、患者さんを包括的かつ効果的にケアしています。

成人市中肺炎の重症度別患者数等

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患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 6.88 42.88
中等症 33 17.03 72.27
重症 17 18.71 82.41
超重症 12.50 79.50
不明

市中肺炎とは、一般社会生活を送っている人に見られる肺炎のことをいいます。免疫低下した状態の方や病院内で発生した肺炎、明らかな誤嚥による肺炎などは除かれます。市中肺炎は、成人市中肺炎診療ガイドラインに示された症状・身体所見・年齢による重症度分類(A-DROPシステム(上記))により重症かどうかが判断され、治療の場所や内容が決定されます。
軽症(重症度スコア0)の患者さんは外来で治療することもありますが、中等症(重症度スコア1~2)、重症(重症度スコア3)の患者さんは入院のもとで治療を行います。治療は抗菌薬を中心とした薬物療法が主体となりますが、患者さんの呼吸不全の程度に応じて酸素療法、人工呼吸管理といった呼吸管理を行っていきます。当院では中等症以上の患者さんが入院治療の中心となっています。軽症に比べて、中等症や重症では高齢の患者さんが多くなる傾向にあり、また重症度が上がるほど呼吸不全や他の臓器の合併症が増加するため、長い治療期間が必要となっています。

脳梗塞の患者数等

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発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 486 23.23 73.84 44.44
その他 107 18.05 69.88 21.50

脳梗塞の入院患者総数は 593名です。このうち、発症3日以内の急性期入院が82%と多くを占め、救急中心の診療体制を取っています。
平均年齢は73.1歳で、高齢化は進んでいます。
平均在院日数は22.5日、転院率は40.3%で、早期からの治療・リハビリテーションを行うことにより、半数の患者さんが自宅や施設に帰られています。回復期リハビリ病棟を中心とする転院先との連携を深め、地域に根ざした切れ目のない医療・介護体制の構築に努めています。

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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消化器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm未満 329 1.12 1.93 1.22 68.65
K654 内視鏡的消化管止血術 61 0.36 9.9 18.03 72.46
K6871 内視鏡的乳頭切開術 乳頭括約筋切開のみのもの 59 2.32 7.27 8.47 73.22
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 58 2.12 9.72 8.62 77.84
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm以上 53 1 2.17 0 66.3

当院消化器内科では年間約6,500件の内視鏡検査および治療を行っており、当科における診療の主体を成しています。内視鏡を用いたさまざまな検査や治療のほとんどを行うことが可能で、中でも胃・大腸をはじめとした消化管腫瘍性病変の内視鏡を用いた治療は年間約500件行なわれています。
大腸ポリープと呼ばれる大腸の腫瘍性病変に対する治療は年間約450件行われています。通常は3-4日程度の入院の上で、スネアという器具を用いて内視鏡的大腸ポリープ切除術を行うことが多く、病変が比較的小さな場合には外来での日帰り治療も行っています。また2センチ以上の大きながんに対しては粘膜下層剥離術という手法を用いて内視鏡を用いた切除術を行うことが可能です。これらの治療で根治が期待できる病変は腺腫という良性の腫瘍、および粘膜から粘膜下層表層(腸壁の浅い部分まで)にとどまるがんであり、それ以上深く浸潤したがんに対しては根治が期待できないため、外科的な腸管切除術による治療が望まれます。
近年、脳梗塞や心筋梗塞などのご病気を患われている、またはその予防目的に抗血栓薬という血液をサラサラにする薬を服用している方が多く、このような患者さんにおいては抗血栓薬を休薬しないと内視鏡を用いた病変の切除術を行う事ができない場合があります。抗血栓薬を内服したまま治療を行うと出血の危険性が高くなり、逆に休薬する事で今まで落ち着いていた脳梗塞や心筋梗塞が再発する危険性もあります。当院では10ミリ未満の小さな腺腫に対しては抗血栓薬を内服したままで治療を行うことが可能であり、良好な治療成績が得られています。ただし抗血栓薬の種類や数によっては治療を行うことができない場合もありますので、そのような場合には医師に相談していただくことが望まれます。
胃や食道の浅いがんに対しても大腸の大きな病変と同様に、上述した粘膜下層剥離術という手法を用いて内視鏡を用いた切除術を行っています。
当院では救急搬送される患者さんが多いことも特徴の一つです。その中で胃・十二指腸潰瘍や、大腸憩室という大腸壁がふくろ状に拡がった部分からの出血など、さまざまな消化管出血により救急搬入される方が多くいらっしゃいます。このような患者さんには内視鏡を用いた止血術を行い、良好な治療成績が得られています。また小腸から出血を来すような場合もあり、そのような場合にはカプセル型の内視鏡を用いた診断や小腸用の内視鏡を用いた止血術を、内視鏡で止血が困難が場合には当院放射線科の医師と連携した血管造影下での止血術を行っています。
胆石性胆のう炎、胆管結石に伴う胆管炎などの患者さんも数多く緊急搬送されます。ここでも内視鏡の果たす役割は大きく、胆管結石に伴う胆管炎の患者さんに内視鏡を用いて十二指腸の乳頭部という胆汁の出口を切開し、それに引き続き採石や胆管ドレナージ術(プラスチック製のチューブを胆管に挿入することで胆汁の流れを良くする方法)を行っています。胃の手術を受けた方で、手術後に胃や腸の吻合方法が複雑な方が胆管結石に伴う胆管炎を発症した場合、通常の内視鏡を用いた方法では採石や胆管のドレナージ術を行う事が困難な場合もありますが、当科では専用の内視鏡を用いて採石や胆管ドレナージ術を行うことが可能です。また胆のうや胆管、肝臓、膵臓などのがんを原因として胆汁の流れが悪くなることで生じる黄疸(閉塞性黄疸)の患者さんに対しても、プラスチック製のチューブや金属ステントという網目状の筒型金属を用いた胆管ドレナージ術を行っています。

脳血管内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K178-4 経皮的脳血栓回収術 40 2.33 28.7 77.5 76.48
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 18 9.06 11.11 22.22 73.28
K178-2 経皮的脳血管形成術
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm以上

今や脳梗塞は急性期の緊急再灌流療法(カテーテル治療)によって治すことができる病気になりました。2015年に効果が証明された「急性期脳梗塞に対する経皮的脳血栓回収術」を中心に、当科のカテーテル治療件数は年々増加し、良好な成績を収めています 。動脈硬化が高度な脳血管閉塞に対しては、「経皮的脳血管形成術」が単独あるいは血栓回収術と併用して行われます。 脳梗塞の治療は時間との勝負です。症状出現から治療までの時間が短ければ短いほど、より高い効果が得られ、後遺症を治癒・軽減することができます。脳梗塞では以下のような症状が急に出現しますので、ご自身やご家族の方にこれらの症状が現れた場合は、直ちに救急車を要請して一刻も早く治療を受けられるようにしてください。私たちは、一人でも多くの脳梗塞患者さんを治すために、いつでも迅速な治療が可能な体制を整えています。脳梗塞で多い症状は、片側の手足の脱力、言語障害や呂律不良、顔面麻痺などで、重症例では意識障害で反応が鈍くなる、共同偏視といって眼が左右一定方向に固定するなどの症状が現れます。
その他にも、高い脳卒中予防効果が確認されている「経皮的頸動脈ステント留置術」などの予防的治療も積極的に行っています。治療を希望される方は、かかりつけの先生と当科の受診についてご相談下さい。

循環器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 105 2.65 2.47 1.9 68.5
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 103 1.69 2.53 0 67.66
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術 急性心筋梗塞に対するもの 45 0.16 14.51 11.11 69.51
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術 不安定狭心症に対するもの 42 0.19 9.55 0 67.62
K5972 ペースメーカー移植術 経静脈電極の場合 25 3.96 9.48 4 80.36

循環器内科における手術としては、カテーテルによる冠動脈形成術(冠動脈ステント留置術)と心筋焼灼術が主になります。 急性心筋梗塞や不安定狭心症に対する冠動脈形成術は、入院後に緊急で、もしくは準緊急で速やかに実施できる体制を整えています。穿刺部位により出血性合併症発生率が異なりますので、原則として低侵襲アプローチとし、在院日数の短縮、転院率の抑制を図っています。慢性虚血性心疾患に対する待期的冠動脈形成術は原則として入院翌日に実施していますが、急性心不全の精査加療中に明らかとなり実施することも少なくありませんので、一様ではありません。冠動脈形成術の実施にあたっては、圧センサー付きワイヤーなどを利用しての心筋虚血評価、CTでのMMAR測定などによる灌流心筋量評価を合わせて適応を決定します。治療にあたっては、CTによるSlab MIP画像を利用した綿密な治療方針構築による成功率の上昇、また遠位橈骨動脈アプローチを利用したスレンダーPCI(経皮的冠動脈形成術)による合併症の抑制を図っています。 カテーテルアブレーション(心筋焼灼術)は、上室性頻拍、WPW症候群、心房粗動、心房細動などの頻拍性不整脈に対する治療です。非常に有効で低侵襲な治療ではありますが、緊急で必要となることは稀な治療でありますので、適応判断は慎重に行っています。2019年からはクライオアブレーション(冷凍焼灼術)を導入し、より効率的な治療を図っています。 徐脈性不整脈に対するペースメーカー治療は代替療法に乏しいため、高齢化がそのまま反映されています。それに伴い、難しい症例も増えていますので、症例ごとに対応しています。表以外では、下肢動脈疾患に対するカテーテル治療も行っています。

小児科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7151 腸重積症整復術 非観血的なもの 12 0.08 1.42 0 1.33
K300 鼓膜切開術
K5091 気管支異物除去術 直達鏡によるもの
K3911 気管異物除去術 直達鏡によるもの
K367 咽後膿瘍切開術

当院小児科では、腸重積症を疑う症状として頻回嘔吐や間歇的に泣き止まない不機嫌など、血便が出現する前に救急外来において腹部エコーを実施しています。症状出現から12時間以内に診断されることが多く、非観血的な整復治療が可能となっています。
呼吸器疾患による入院患者が多いため、急性中耳炎・頸部リンパ節炎・咽後膿瘍などを併発しているケースを多く認めます。診察所見・内科的治療で効果に乏しい場合は、耳鼻咽喉科に院内紹介し鼓膜や咽後膿瘍の切開を行っています。
対応件数は少ないですが、乳幼児が何か食べていて突然 咳き込んだり、その後も咳が持続する場合は気管/気管支異物を疑います。全身麻酔下で内視鏡や耳鼻咽喉科による直達鏡により除去術を行います。

小児循環器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K574-2 経皮的心房中隔欠損閉鎖術 22 1.86 3.05 0 14.23
K5621 動脈管開存症手術 経皮的動脈管開存閉鎖術 17 1.82 2.18 0 2
K5761 心室中隔欠損閉鎖術 単独のもの
K570-3 経皮的肺動脈形成術
K570-2 経皮的肺動脈弁拡張術

当科はカテーテルという細い管を使って胸に傷をつけずに治療を行うカテーテル治療を日本で始まってから間もない1980年代より行っています。上記表で経皮的とはカテーテルを用いた治療法の意味です。ただすべての心臓病の治療ができるものではなく、開胸開心術が絶対必要な複雑な心臓病もあり、カテーテル治療と開胸開心術は先天性心臓病を治療する上での車の両輪の役割だと考えています。
設立当初のカテーテル治療は動脈管開存症に対してporstman法や初期のバルーンを用いた肺動脈弁拡大術などを行っていましたが、技術や診断機器、道具、デバイスの進歩とともに多くの疾患に適応できるようになりました。2006年からはAmplatzer Septal OccluderやOcclutech Figulla FlexⅡ閉鎖栓を使用した心房中隔欠損症のカテーテル治療を開始し、小児期から80代の高齢者まで幅広く治療しています。また、2009年よりAmplatzer Duct Occluder(ADO)を用いた動脈管開存カテーテル治療の認可施設としての治療も行っています。ASOを使用した心房中隔欠損症の治療は506例(2020年7月31日現在)、ADOを用いた動脈管開存カテーテル治療は91例(2020年7月31日現在)で、九州内各県よりご紹介いただいています。
2015年よりカテーテル治療は主にハイブリッド手術室で行っており、清潔で安全にカテーテル治療が可能になっています。そのほか新生児動脈管ステント留置術や動脈管コイル塞栓術、大動脈や肺動脈のバルーン弁拡大術、Vasucular plug閉鎖栓を使用した側副血行路塞栓など積極的に行っています。また2019年からは改良型のAmplatzer Duct OccluderⅡ、2020年から新生児用の動脈管閉鎖栓であるAmplatzer Piccolo Occluderの使用が可能となり、より多くの方々により安全により低侵襲で治療が可能になります。
カテーテル治療ができない方たちは、開胸での心臓手術が必要となりますが、手術前後の管理は新生児科・心臓血管外科・麻酔科・小児科・循環器内科・産婦人科と協力して行っています。2019年は成人先天性を含めた先天性心臓病開心術44例(心室中隔欠損症、心房中隔欠損症、ファロー四徴症、房室中隔欠損症、弁形成、置換手術など)を含めた先天性心臓病手術50例の術後管理を行いました。外来通院からカテーテル検査・治療、術前・術後管理、外来フォローまで責任をもって治療を行い、できるだけお待たせしないような治療・手術計画を立てるようにしています。 また今後も新しいカテーテル治療用のデバイス(治療用具)が認可される予定で、カテーテル治療可能な疾患が広がっていくことになります。

外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 126 1.73 6.35 3.97 62.74
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 66 5.15 15.41 9.09 71.71
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置 頭頸部その他に設置した場合 66 3.15 8.42 0 67.27
K655-22 腹腔鏡下胃切除術 悪性腫瘍手術 39 4.31 17.23 10.26 70.54
K6335 ヘルニア手術 鼠径ヘルニア 38 1.97 5.47 10.53 69.61

外科は消化器外科、乳腺外科、移植外科から成り、上部消化器(胃、肝胆膵・移植)、下部消化管(結腸、直腸、一般外科)、乳腺、Acute Care Surgery の4つのチームを作り、臓器別診療を行っています。2019年の総手術件数は、1071件であり、定例手術640件、緊急手術431件を施行しています。また地域がん診療連携拠点病院として年々がんの手術件数は急増しており、2019年は400例を超えています。
消化器管疾患は、上部消化管、下部消化管ともに腹腔鏡下手術がメインで、全体の80%超を占めています(2019年、胃がん56例、結腸・直腸がん137例)。特に2018年4月からはロボット支援下手術を導入しており、現在までにすでに70例超の胃がん症例と5例の直腸がん症例を実施し、今後他の手術にも対応していく予定です。
乳腺外科は地域の総合病院としての特性を生かしつつ、手術(乳房再建を含む)から内分泌・化学療法、放射線治療、さらにはリンパ浮腫治療に至るまでの質の高いオーダーメイド治療を実践しており、年々症例数が増加しています(2019年、乳がん94例)。
肝胆膵疾患は、腹腔鏡下手術から、肝移植の技術を応用した高難度手術まで実践しており(2019年、肝胆膵がん72例)、現在は日本肝胆膵外科学会の高度技能専門医修練施設Bを取得しています(現在修練施設A取得に向け準備中)。また移植外科は2015年11月に新設され、年間10例程度の生体腎移植を実施しています(現在40例)。2019年からは献腎移植実施施設として献腎移植登録も行っています。
一般外科として、胆石症、ヘルニアの手術を実施しており、2019年に胆石症の手術である胆嚢摘出術は145例(腹腔鏡下 96.5%)、ヘルニア根治術は74例(前方アプローチ 78.4%、腹腔鏡下 21.6%)実施しています。

乳腺外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4763 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 33 1.09 8.76 0 59.36
K6113 抗悪性腫瘍剤動脈、静脈又は腹腔内持続注入用植込型カテーテル設置 頭頸部その他に設置した場合 32 1.34 4.81 3.13 55.94
K4765 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの 29 3.34 12.79 3.45 60.34
K4762 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 21 0.95 6.9 0 57.14
K4742 乳腺腫瘍摘出術 長径5cm以上

当院は、地域がん診療連携拠点病院として乳がん治療に対し専門的なスタッフをそろえ、診断、手術(乳房再建含む)、薬物治療、放射線治療、リンパ浮腫治療など乳がん治療に必要なすべての治療を行うことができます。化学療法に関しては、患者さんが安心して化学療法を受けられるように静脈ポート(持続注入用植込型カテーテル)留置を推奨し行っています。乳房全切除や乳房部分切除も患者さんの希望と病変の広がりに応じて適応を判断します。標準治療としてのセンチネルリンパ節生検は、色素法に加え赤外線法を用いたリンパ節検出法とOSNA法を用いた転移の診断法を取り入れています。乳腺の良性腫瘍の手術も行っています。

移植外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K780-2 生体腎移植術
K783-3 経尿道的尿管ステント抜去術
K682-2 経皮的胆管ドレナージ術

現在、国内では約34万人の末期腎不全の患者さんがおられ、そのうち90%以上の方が血液透析を選択されています。腎移植は毎年1600人にとどまり、今なお約1万3000人の方が腎移植を希望されて待っておられます。肝臓に関しては年間5万5千人の方が肝臓病(末期肝不全、肝がんなど)で亡くなられ、毎年2600人の方が肝移植の適応になると推定されています。それに対して肝移植は生体・脳死肝移植合わせて毎年400例超が行われているに過ぎません。
この筑後地区でも一人でも多くの方に、移植で助かる命があることをご理解いただき、一人でも多くの方が移植医療を通して救われることを願い、2015年7月より当院にて移植外科外来を開始いたしました。そして同年11月より生体腎移植プログラムを開始し、2020年7月までに40例の生体腎移植手術を行っています。
<献腎移植について>
当院は献腎移植が可能な医療機関として認定されており、2019年1月10日より登録受入れを開始し、2020年7月現在20例の登録を実施しています。
献腎移植は、亡くなられた方から腎臓を提供していただく移植のことです。献腎移植には心臓死からの移植と脳死からの移植があります。献腎移植を受けるには、まず移植が可能な医療機関を受診するなどし「日本臓器移植ネットワーク」に移植希望登録することが必要です。

小児外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 ヘルニア手術 鼠径ヘルニア 84 0.5 1.04 0 3.6
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 83 0.99 1 0 4.77
K836 停留精巣固定術 66 0.59 1 0 2.33
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの 42 0.86 5.79 0 10.79
K804 尿膜管摘出術 33 0.73 2.03 0 0.82

鼠径ヘルニアと停留精巣は、小児外科の定例手術の中心となる疾患です。例年通りの手術が行われており、在院日数も短期間です。
救急疾患である虫垂炎は、患者さんやご家族の希望も考慮して、手術療法と保存的治療の何れかを選択します。手術療法での在院期間は虫垂周囲膿瘍の有無で差は生じませんが、保存的治療では必然的に虫垂周囲膿瘍が有る患者さんの在院期間は長くなりますので、全体的な結果として在院日数の差が認められます。
尿膜管遺残症に対して早期診断が可能になったことにより乳児期での尿膜管摘出症例が増加していますが最低限の在院日数で治療を完遂しています。
その他、直腸肛門奇形、ヒルシュスプルング病、先天性胆道拡張症、胆道閉鎖症などに代表される小児外科独特の疾患の治療も広範に行っており、 積極的に鏡視下手術を導入することで可能な限りの侵襲低減に努めています。

形成外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部) 長径2cm未満 34 1.09 1.32 0 17.53
K333 鼻骨骨折整復固定術 34 1.53 4 0 21.47
K2191 眼瞼下垂症手術 眼瞼挙筋前転法 21 0 1.67 0 73.24
K427 頬骨骨折観血的整復術 19 2.32 6.37 5.26 48.95
K4073イ 顎・口蓋裂形成手術 顎裂を伴うもの 片側 16 1.19 8.88 0 5.25

当院は救急病院であり顔面骨骨折の手術が多くなっています。そのため鼻骨骨折徒手整復術、頬骨骨折手術が上位を占めており、外傷による皮膚広範囲欠損に対しては動脈皮弁術や植皮術で創部の被覆や再建術を行っています。そのほか入院が必要な小児や高齢者の皮膚腫瘍の治療や眼瞼下垂症の手術を行っています。また口唇口蓋裂センターを立ち上げており、口唇口蓋裂疾患に関しては院内でチーム医療を実践しています。

整形外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿 274 4.64 19.71 80.29 78.06
K0811 人工骨頭挿入術 肩、股 131 7.34 19.33 91.6 80.73
K0462 骨折観血的手術 前腕、下腿、手舟状骨 128 5.15 17.58 34.38 55.43
K0463 骨折観血的手術 鎖骨、膝蓋骨、手(舟状骨を除く。)、足、指(手、足)その他 63 6.05 15.79 36.51 55.83
K1422 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 後方又は後側方固定 48 10.02 27.69 89.58 66.31

大腿骨近位部骨折は高齢者に多く、転倒などの軽微な外傷で起こります。治療方法としては、骨接合術や人工骨頭置換術などの手術を行う必要があります。麻酔科と協力して手術までの待機日数の短縮に努めてきたことで、2019年度の平均待機日数は5日にまで短くなりました。7割以上の患者さんが、入院後5日以内に手術を行っています。
患者さんが手術を受けた後、歩行能力を再獲得するためには術後のリハビリも大変重要です。当院は、術後の早期リハビリ開始にも力を入れており、近隣の回復期リハビリ病院などとも連携して、継続的なリハビリの提供に努めています。
骨内異物除去術(抜釘術)を受ける患者さんは、以前は入院いただく方が多かったのですが、最近は日帰り手術も可能となり、患者さんやご家族の負担軽減にも繋がっていると思います。
当院は救急病院であり、上肢、下肢、脊椎、骨盤などさまざまな部位を骨折された患者さんが来院されます。緊急を要する開放骨折や難易度の高い複雑な骨折も多数治療を行っています。
常に安全かつ精度の高い手術の提供に心がけるとともに、良好な機能回復に努めています。

呼吸器外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5131 胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) 40 2.7 6.08 0 31.65
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 22 1.73 14.36 0 72
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 14 1.07 8 0 69.07
K5132 胸腔鏡下肺切除術 部分切除
K513-4 胸腔鏡下肺縫縮術

肺がんについては、手術の内容が過不足のない標準的な手術を短い手術時間で終えるようにしています。ロボット支援下手術、胸腔鏡下手術、開胸手術などの中で、患者さんの病態に合わせた最善の方法を検討し、治療を行なっています。
気胸に関してはたくさんのノウハウがありますが、成長期気胸、成人の気胸、難治性気胸など、それぞれに合わせて最もよい手術を提供しています。その他の疾患についても患者さんにとって一番良い方法を提案しています。

脳神経外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 105 1.72 13.68 23.81 78.59
K1781 脳血管内手術 1箇所 40 2.4 23.48 35 61.93
K0004 創傷処理 筋肉、臓器に達しないもの(長径5cm未満) 30 0.07 12.73 20 60.47
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング 1箇所 20 1.45 43.55 70 65.2
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術 その他のもの 17 9.35 45.82 23.53 60.71

2008年から本格的に開始した脳血管内手術は順調に件数を重ねており、近年は年間100件を超えています。2019年度も過去最多を更新し、138件の手術件数がありました。当院の特徴として小児の脳卒中も多く、破裂の脳動静脈奇形(AVM)やモヤモヤ病といった脳血管奇形や先天疾患も多く見られます。当院での血管内手術はほぼ全てハイブリッド手術室で行っていますが、特にこうしたAVMなどの困難な症例においては、当院の特徴である”バイプレーン”でのハイブリッド治療が可能であり、カテーテル手術と開頭手術を同時に、それぞれの質を落とすことなく施行しています。
当脳神経センターでは小児神経外科認定医、神経内視鏡技術認定医、内分泌専門医など専門医の取得が進んでいます(下記参照)。内視鏡設備等も配備され、特に小児領域・脳腫瘍においても力を入れています。
〇日本脳神経外科学会 専門医:8人(うち指導医4人)
〇日本脳神経血管内治療学会 専門医:4人 指導医:1人
〇日本脳卒中学会 専門医:4人
〇日本神経内視鏡学会 技術認定医:2人
〇日本小児神経外科学会 認定医:1人
〇日本内分泌学会 内分泌代謝科(脳神経外科)専門医:1人
手術器具に関しては、今年新たに最新の手術顕微鏡を導入する予定であります(Leica:ARveo)。また一昨年新たに神経内視鏡システムを導入しており、神経内視鏡技術認定医・内分泌専門医も常勤となり、下垂体疾患にも対応しています。バイプレーンの血管造影装置を備えたハイブリッド手術室、ナビゲーションシステム・術中のモニタリングシステム(SEP・MEP・VEPなど同時8ch計測可能)・新しい止血機能も備えたCUSAも順調に稼働しており、充実した設備のもとに、より安全な手術を行うべく努力しています。

心臓血管外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術 2吻合以上のもの 16 4.88 18.81 31.25 73.63
K5606 大動脈瘤切除術(吻合・移植)腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの) 14 4.93 25.36 35.71 73.86
K5612ロ ステントグラフト内挿術 1以外の場合 腹部大動脈 14 2 9.93 0 73.14
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 14 1.43 4.64 14.29 69.07
K5551 弁置換術 1弁のもの

当院心臓血管外科は、先天性から成人心疾患を含めた心疾患および血管疾患に対する手術を行っています。最近では動脈硬化を原因とする、虚血性心臓病、大動脈弁狭窄症、大動脈瘤、閉塞性動脈閉塞症が増加傾向にあります。狭心症に対する冠動脈バイパス手術は、内科的治療の発達とともに当科での手術となる症例は高齢者、重症の複合疾患や緊急対応を要する手術が多くなっています。弁膜症は変性疾患が増加し、大動脈弁置換術、僧帽弁形成術の症例が増加しています。当科では早期回復のためにリハビリの介入を可及的に術翌日から行っています。患者さんに安心して帰っていただけるように、退院後も外来心臓リハビリや必要であれば連携病院でのリハビリに協力いただいています。また大動脈のステントグラフト治療はハイブリッド手術室にて対応しています。先天性疾患については小児循環器内科を参照ください。

産婦人科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 187 5.64 8.03 0 33.11
K8981 帝王切開術 緊急帝王切開 122 4.44 8.23 0.82 32.52
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 85 0.93 4.66 0 44.8
K867 子宮頸部(腟部)切除術 62 1 3.47 0 41.02
K877 子宮全摘術 59 1.22 9.12 0 48.81

産婦人科は、「産科」と「婦人科」の診療を担っており、入院病棟は基本的に別に設けています。
産科は総合周産期母子医療センターを担っているため、多くのハイリスク症例のご紹介をいただきます。
2019年は総分娩数が654件でその内48%の320件は帝王切開術によるものでした。選択的帝王切開術も双胎妊娠管理に伴うものや、上記コードに含まれない前置胎盤などの医院での対応困難症例などがありました。
婦人科領域では、子宮・卵巣の良性腫瘍に対して患者さんの負担が少ない腹腔鏡手術を積極的に行い、平均術後日数の短縮に取り組んでいます。開腹手術は、良性疾患であっても重篤な合併症を有する症例や難渋すると思われる症例を集学的に取り組んでいます。がん検診による早期発見・早期治療は死亡率の低下のために重要なことです。がん検診により紹介された子宮頸部高度異形成、上皮内腫瘍などの前がん病変・初期病変に対しての早期治療として円錐切除術を行っています。

眼科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術 網膜付着組織を含むもの 251 0.87 5.7 0.8 65.04
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 221 1.01 1.03 0.45 76.5
K2821イ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 縫着レンズを挿入するもの 23 1 1.17 0 74.09
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術 その他のもの 20 1.05 2.95 0 67.95
K2686 緑内障手術 水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術 11 0.91 1 0 71

日帰り手術を含めると年間1,200例以上の手術を行っていますが、水晶体再建術(白内障の手術)が最多です。散瞳不良例やチン小帯脆弱例などの難症例はもちろん、心臓病や腎機能障害、精神科疾患など全身状態に不安のある患者さんの手術が可能です。
また網膜剥離、黄斑前膜、黄斑円孔、糖尿病網膜症などの網膜疾患に対する硝子体手術に特に力を入れていますが、最近では緑内障手術にも力を入れています。流出路再建術、濾過手術だけでなく、チューブシャント手術にも対応可能です。昨年より水晶体再建術併用眼内ドレーン挿入術(iStent手術)も開始しました。
最新の手術用顕微鏡、広角眼底観察システム、硝子体手術装置を2台ずつ導入し、安全かつ低侵襲の手術を目指しています。

耳鼻いんこう科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 179 1 5.98 0 17.28
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術III型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 57 1.04 6.04 0 53.77
K3191 鼓室形成手術 耳小骨温存術 22 1.09 3.23 0 41.45
K309 鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術 18 1.56 4.17 0 11.39
K4571 耳下腺腫瘍摘出術 耳下腺浅葉摘出術 13 1 5.69 0 61.38

口蓋扁桃摘出術は主に幼少児の扁桃肥大(いびき)、小児から成人までの慢性扁桃炎に対して施行しています。同時に滲出性中耳炎を合併する症例に対して、アデノイド切除や鼓膜チューブ挿入術を追加することが多いです。また慢性副鼻腔炎に対して内視鏡下の副鼻腔開放術を、また慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎に対して鼓室形成術を行います。頸部の良性腫瘍に対する手術も行っており、耳下腺良性腫瘍に対する手術件数が多くなっています。

泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 その他のもの 64 1.39 4.09 0 75.19
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 38 1.55 3.79 0 65.53
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 18 2.83 13.78 22.22 72.72
K773 腎(尿管)悪性腫瘍手術 17 1.06 11.47 11.76 69
K8412 経尿道的前立腺手術 その他のもの 13 1 9.62 0 78.69

手術で最も多いのは、膀胱がんに対する経尿道的切除術です。患者さんにとって膀胱を温存できるかどうかは重要な問題であり、可能な限り経尿道的手術でコントロール出来るように努力しています。次に多いのが、腎尿管結石に対する経尿道的結石除去術(TUL)です。主にホルミウムレーザーにて砕石しています。ここ数年、当院ではTULの件数が増加してきています。また、当院では体外衝撃波砕石術(ESWL)や経皮的尿路結石除去術(PNL)も行っており、症例により適切な治療法を検討し選択しています。次が経尿道的尿管ステント留置術です。当院は救急病院であり尿管結石による閉塞性腎盂腎炎、更に進行し敗血症となった症例も多く、できるだけ早期に閉塞を解除するように努めています。次に多いのが腎がんに対する根治的腎摘除術と腎盂・尿管がんに対する腎尿管全摘+膀胱部分切除術です。昨年度は開腹手術が多かったですが、腹腔鏡や後腹膜鏡による手術も行っています。その次に多いのが前立腺肥大症に対する経尿道的前立腺切除術(TUR-P)です。今年度は灌流液に生理食塩水を用いるTURis-Pを導入し、より安全な手術が行えるようにしています。
今後も患者さんに侵襲の少ない手術を行っていきたいと考えています。

腎臓内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 19 5.26 10.63 15.79 71.26
K654 内視鏡的消化管止血術
K0004 創傷処理 筋肉、臓器に達しないもの(長径5cm未満)
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術
K6082 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)

腎臓内科で行う手術はほとんどが慢性人工透析のためのアクセス造設です。アクセスは自家静脈および人工血管を使用してのAVフィスツーラ作成、上腕動脈表在化などを行います。時に長期留置カテーテルの留置も行っています。血液透析のみのアクセスしかありませんが、腹膜透析のアクセス作成も行っています。その他は腎臓病の精査中に見つかった病気の検査や治療のための手術です。

透析内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 37 8.68 25.57 13.51 65.38
K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術 35 1.6 7.43 28.57 69.91
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法
K6147 血管移植術、バイパス移植術 その他の動脈
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術

透析患者のアクセス再建は院内外のアクセストラブルに対して、経皮的血管形成(PTA)、および手術によるアクセス再建術を行っています。PTAは外来で行うことを基本にしていますが、院外からの紹介や、シャント閉塞の場合入院していただくことも多くなっています。筋肉内異物摘出術は遺残人工血管除去や、腹膜カテーテルの抜去を指します。アクセス設置術の日数が長いのは透析導入などの関係と考えます。

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

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DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 0.01%
異なる
180010 敗血症 同一 34 0.21%
異なる 0.03%
180035 その他の真菌感染症 同一 0.01%
異なる 0.01%
180040 手術・処置等の合併症 同一 112 0.68%
異なる 0.02%

総務省消防庁の救急・救助の現況によれば、わが国の救急搬送数は年々増加しています。高齢化に伴うその救急搬送数の増加が主な原因とされています。当院は筑後地方の基幹となる医療機関ですが、前述の社会背景もあり、高齢者の救急搬送数や他院からの救急転院数は増加傾向にあります。これらの患者さんは、緊急および待機手術となる場合も少なくありません。
実際に当院の60~90歳までの手術件数は2014年度以降、前年度に比べ増加傾向にあります。2017年度以降、80~89歳の年間手術件数は緊急手術を含め1,000件を超え、特に90歳以上の年間手術件数も200件を突破しました。2019年度の手術総件数は9,807件と2014年度の6,938件と比べ1.4倍に増加しています。60~69歳、70~79歳、80~89歳、90歳以上の各年代とも手術総件数は2014年度と比較すると、予定手術および緊急手術ともに概ね1.5-2倍程度増加しています。年代別の手術件数で前年度との比較で減少したのは90歳以上の緊急手術件数(76→61件)のみでしたが、80歳以上を一括りにすると緊急手術件数は332件と全くの同数でした。
当院における2019年度の敗血症は前年度より増加しましたが、手術・処置などの合併症の数は減少しています。敗血症の発生率の増加は、前述のような高齢者緊急(腹部)手術などの影響が考えられます。特に緊急手術が増加傾向にある限り、今後もこのような傾向は続くと考えられます。処置などの合併症の発生率は、2016年度の0.69%を下回り、最も低いレベルとなっています。
高齢者の手術件数の増加の割合に比べ合併症の発生数の伸びは少ないことを鑑みると、手術室、ICU、HCU系を含めた周術期の医療管理レベルは年々向上していると考えられます。
DICや真菌感染症については、例年通り10症例未満となっています。

更新履歴

2020年9月29日    令和元年度 聖マリア病院 病院指標を公開しました。

  • 聖マリア学院大学 学生募集
  • NPO法人 ISAPH
  • NASVA
  • Minds
  • 筑後感染ネットワーク
  • iサイクル
  • 日本臓器移植ネットワーク
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