新生児科
診療内容・診療目標
聖マリア病院は1972年、総合病院として国内初の新生児科を新設、78年8月には新生児・小児救急医療センターを開設しました。
筑後地域で生まれる赤ちゃんのかけがえのない生命(いのち)を全力で守り、赤ちゃんと家族の絆を深めることを新生児科の基本理念とし、日々診療を行っています。この基本理念を実践するために、以下の3点を診療の柱に掲げています。
1.機動力を駆使したスピーディーな対応
病気を持つ赤ちゃんが生まれるのは、何も聖マリア病院だけにとどまりません。地域の産科クリニックでも同様ですし、中には自宅の場合もあります。新生児科は、赤ちゃん専用の救急車を配備し、筑後地域の産科クリニックなどで生まれる赤ちゃんのいかなる不測の事態にも対応できる体制を整えています。
2.新生児蘇生法の普及及び啓蒙活動
赤ちゃんが元気に生まれるということは、当たり前のことではありません。事実、生まれてくる赤ちゃんの約10人に1人は外の環境にうまく適応できず、医療的な助けが必要になります。その際に必要となる知識およびスキルが新生児蘇生法(NCPR)であり、日本周産期・新生児医学会は、全ての分娩に新生児蘇生法を身に付けた医療スタッフが立ち会う体制の確立を目指しています。聖マリア病院には新生児蘇生法のインストラクターが在職しており、定期的に講習会を開催するなどして、地域の医療スタッフがお産の「もしも」に常に対応できるよう、知識・スキルの育成に力を注いでいます。
3.ICTの積極的活用
現在の情報通信技術(ICT)の進化は、従来の医療の在り方を大きく変えようとしています。聖マリア病院の新生児科では既成の概念にとらわれることなく、臨床現場にも最新のICTの積極的導入を進め、実績を上げています。医療と通信技術の融合により、単に医療的側面だけでなく、看護ケアや後進の教育指導、そしてスタッフの働き方に至るまで、さまざまな革新を遂げることができるよう、計画立案中です。
聖マリア病院 新生児蘇生法講習会
聖マリア病院の新生児科では、新生児蘇生法の普及のため、聖マリア病院内で定期的に講習会を開催しています。また、当新生児科独自の取り組みとして、われわれインストラクターが直接産科クリニックに出向く出張型の講習会も行っています。地域の産科スタッフで、まだ新生児蘇生法を受講していない、受講したいが講習会に行く余裕がないといった方がおられましたら、ぜひ活用ください。詳細は下記ウェブサイトをご覧ください。
取り扱う主な疾患
筑後地域の周産期医療では、総合周産期母子医療センターが久留米大学病院と聖マリア病院の2カ所にあるという特性を生かし、役割を明確化し、分担して医療を実践することとしています。聖マリア病院の新生児部門NICUでは、院外出生により搬送が必要となった新生児への対応を主体に担当し、早産児に関しては在胎28週以降に対応しています。
院外出生では、正期産で地域の産院でローリスク分娩として管理され出生し、出生後に呼吸障害を発症したり、先天異常が疑われる場合の入院の依頼に対応しています。新生児は、出生後にまず呼吸に対応する必要があるため呼吸障害として紹介されることが多いですが、このときに新生児が持つ疾患は、呼吸器疾患によるものばかりではなく、種々の先天性疾患や感染症、代謝疾患、内分泌疾患など多岐にわたります。先天性疾患では、心奇形、肺疾患、消化器疾患など、これも全身の多くの臓器に疾患を持つ可能性があります。当新生児センター、NICUでは、これらの多くの重症疾患新生児に対し、人工呼吸器を含めた全身管理と専門的治療を行い、先天性代謝疾患では初期対応として血液透析も施行しています。
外科疾患では、小児外科、小児循環器内科、小児歯科、脳神経外科、形成外科、眼科など多くの診療科と協力し、先天性心内構造異常や肺疾患、消化器疾患、口唇顎口蓋裂、あるいは脳脊髄疾患、そして未熟児網膜症などの眼科疾患などの治療を行っています。
症例実績
2021年は新型コロナの影響で入院症例が2割程度減少した前年から回復し、例年並みの症例を受け入れました。以前から夜間でも迅速に新生児専用救急車を利用して新生児科医師や看護師による児搬送体制を構築していることもあり、院外出生の入院児が全体の4~5割を占めます。
早産や低出生体重児については、在胎28週未満の早産児や1000g未満の超低出生体重児への対応は少ないものの、それ以上の多数の早産、低出生体重児の治療を行っており、人工呼吸器管理などの全身管理や早産に伴う合併症の治療を行っています。
手術実績
※手術実績はありません。
学会発表・論文など(2021年度)
外来体制
診察ブロック 小児総合 |
月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | 土曜 |
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午前 |
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午後 |
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診察ブロック 小児総合 |
午前 | 午後 |
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月曜 |
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*診療受付時間は8時30分~11時30分まで。診察開始は9時からです。
*完全紹介電話予約制で、新患は事前の予約が必要です。
*北田医師の外来は、手術などの都合によりますので、事前にご相談ください。
*夜間救急は地域医療支援棟1階で受け付けます。
所属医師
第4診療部(母子系)副院長/安全・感染・QI本部長
前野 泰樹まえの やすき
- 出身大学
- 久留米大学
- 卒業年
- 1988年
- 所属医局
- 久留米大学小児科学講座
- 学位(取得大学)
- 医学博士(久留米大学)
- 専門医等の資格
-
- ・日本小児科学会小児科専門医
- ・日本小児循環器学会小児循環器専門医
- ・日本胎児心臓病学会胎児心エコー認証医
- ・日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法「専門」コースインストラクター
- ・医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
- 学会役員等
-
- ・日本小児循環器学会評議員
- ・日本周産期新生児医学会評議員
- ・日本胎児心臓病学会評議員
- ・日本胎児治療学会幹事
- ・周産期循環管理研究会幹事
- 専門・研究分野
-
- ・小児科
- ・新生児
- ・小児循環器
- ・胎児循環器
新生児科診療部長
原田 英明はらだ えいめい
- 出身大学
- 宮崎医科大学
- 卒業年
- 1995年
- 所属医局
- 久留米大学小児科学講座
- 学位(取得大学)
- 医学博士(久留米大学)
- 専門医等の資格
-
- ・日本小児科学会小児科指導医
- ・日本小児科学会小児科専門医
- ・日本周産期・新生児医学会周産期(新生児)指導医
- ・日本周産期・新生児医学会周産期(新生児)専門医
- ・日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法「専門」コースインストラクター
- ・医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
- 専門・研究分野
-
- ・新生児
- ・呼吸器
- ・先天代謝異常
新生児科主任医長
海野 光昭うみの みつあき
- 出身大学
- 藤田保健衛生大学
- 卒業年
- 2004年
- 所属医局
- 久留米大学小児科学講座
- 学位(取得大学)
- 医学博士(久留米大学)
- 専門医等の資格
-
- ・日本小児科学会小児科専門医
- ・日本周産期・新生児医学会周産期(新生児)専門医
- ・日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法「専門」コースインストラクター
- ・医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
- 専門・研究分野
-
- ・新生児、神経
桑原 浩徳くわはら ひろのり
- 出身大学
- 久留米大学
- 卒業年
- 2010年
- 所属医局
- 久留米大学小児科学講座
- 専門医等の資格
-
- ・日本小児科学会小児科専門医
中村 美和子なかむら みわこ
- 出身大学
- 島根大学
- 卒業年
- 2014年
- 所属医局
- 久留米大学小児科学講座
茂藤 優司もとう ゆうじ
- 出身大学
- 山形大学
- 卒業年
- 2020年
- 所属医局
- 久留米大学小児科学講座
- 専門医等の資格
-
- ・緩和ケア研修会修了
末継 智士すえつぐ さとし
- 出身大学
- 熊本大学
- 卒業年
- 2021年
- 所属医局
- 久留米大学小児科学講座