侵襲期全身管理科
診療内容・診療目標
役割、特徴
当科の名称は、今年度より組織改編に伴い、麻酔科集中治療部から変更となりました。業務は主にICU(旧surgical ICU)において担当科をサポートするかたち(いわゆるOpen ICU)で、待機手術直後あるいは病棟での状態悪化に伴い緊急入室となった、いわゆる「侵襲期における患者さん」の全身管理や管理に関するアドバイスを行っています。時に退室後の管理についても関与することもあります。また、当院の集中治療の看護ユニットは「ICU」で統一されましたので、最近では救命救急センター入院患者(旧E-ICU)の管理や早期リハビリテーションカンファレンスなど集中治療科が主として実施する業務のお手伝いもしています。
常勤医師は私一人ですが、平日は麻酔科医の協力を得ながら、また金曜・祝日は麻酔または集中治療管理の経験豊富な九州大学救命救急センター・集中治療部、麻酔科蘇生科の先生方などの応援により患者管理を行っています。ICU入室中患者の緊急手術については、麻酔科医と術中の麻酔管理の注意点・問題点についての情報提供・共有をするようにしています。
力を入れている業務、分野
ICUでは呼吸循環管理はもちろん重要ですが、それ以外にも特に術直後の患者さんについては疼痛管理やシバリングの予防・早期解消といった体温管理も重要です。このような侵襲期における交感神経緊張状態の遷延は、心筋虚血・脳虚血などのリスクになりますし、患者の早期回復を妨げます。
また、ICUにおけるCOVID-19患者の気管挿管は侵襲期全身管理科・麻酔科でほぼ全例実施してきました。COVID-19患者も含め、特に長期気管挿管患者の抜管についても、再挿管をできるだけ回避できるようリスク軽減(体液量調整、ステロイド投与など)への協力を行い、場合により当科で実施しています。抜管後48時間以内の再挿管率は全国平均(全国ICU-registry)9.0%に対し、当院ICU(旧surgical ICU)では0.2%(2人)と極めて低い値となっています。
取り扱う主な疾患
※診療内容・診療目標をご覧ください。
症例実績
入室患者数は2019年度で903人(小児35人)、内訳としては待機手術後が802人(89%)、院内入院患者の状態悪化に伴う入室68例(7.5%)となっています。小児患者のほとんどは心臓血管外科、脳神経外科術後ですが、形成外科(頭蓋形成、熱傷)の管理のお手伝いをすることもあります。ICU死亡率は3.0%であり、重症成人患者に限定しても死亡率は13.0%(APACHE IIの予測死亡率12.6%)であり、全国的にみても標準レベルの治療を少ないマンパワーの中で実施できているものと考えます。
手術実績
※手術実績はありません。
学会発表・論文など(2020年度)
※「麻酔科集中治療部」の実績を掲載しています。
外来体制
※外来診療は行っておりません。
所属医師

侵襲期全身管理科診療部長
漢那 朝雄かんな ともお
- 出身大学
- 九州大学
- 卒業年
- 1992年
- 所属医局
- 九州大学麻酔・蘇生学講座
- 学位(取得大学)
- 医学博士(九州大学)
- 専門医等の資格
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- ・日本麻酔科学会麻酔科専門医
- ・厚生労働省認定麻酔科標榜医
- 学会役員等
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- ・福岡市消防局NBC災害支援アドバイザー
- ・日本蘇生協議会JRC蘇生ガイドライン2020普及・教育のための方策共同座長
- ・改訂6版救急蘇生法の指針2020医療従事者用編集委員
- ・日本臨床救急医学会バイスタンダー体制検討ワーキンググループ委員
- ・帝京大学福岡医療技術学部客員教授
- 専門・研究分野
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- ・麻酔、救急、集中治療、災害医学