口唇口蓋裂センター
概要
聖マリア病院では口唇口蓋裂診療を古くから行ってまいりました。1986年には口唇口蓋裂友の会「ひまわり」を立ち上げ、患者さん・家族との交流や情報交換会を通じて医療環境の向上を図っております。毎年院内の多くの医療従事者の協力のもと、適切な診療を行っておりましたが、複数の診療科にまたがる治療となるため、紹介時期などが不明確であり、診療する医師も毎年医局人事などで変わることが多く、引き継ぎに関しては現場看護師たちの経験によって伝統が守られていたところもあります。そのような中、2020年7月に口唇口蓋裂センターを立ち上げました。センター立ち上げの目的としては、口唇口蓋裂診療に関わる医療従事者の役割の確認および、口唇口蓋裂センター診療マニュアルの作成によって、当院の口唇口蓋裂診療のレベルの均一化を図ることです。
たくさんの職種でそれぞれのスペシャリストが集う総合病院ですが、適切な時期に適切な診療科に紹介がかなわなければ、良い治療が完結しません。
院内だけでなく院外からも口唇口蓋裂疾患に対して安心して治療に臨んでいただけるよう、センターとしての役割を果たす所存です。
治療方針
口唇裂に対しては生後3カ月、口蓋裂に対しては1歳をめどに手術しております。また生後まもなく小児歯科から口蓋床による哺乳補助および顎矯正を行っていますので、早期受診が望ましいです。滲出性中耳炎を繰り返す場合は、口蓋形成術時に耳鼻いんこう科と合同で鼓膜チューブ挿入術を施行しております。その後リハビリテーション科による言語訓練を行い、4歳以降から矯正歯科と併診して顎裂部の骨移植時期を検討します。6〜10歳をめどに骨移植術を行い、その後は歯科矯正をメインとして必要に応じて口唇の修正術や外科的矯正手術を行います。
2020年にCOVID-19がまん延して以降、家族説明会などの機会を失ってしまいましたが、代替としてYouTubeによる情報提供を開始しました。手術などの専門的な内容を含むため一般公開はできませんが、当院で治療を受けてくださる方には形成外科からURLをお渡しし、情報提供を行っております。大切なお子さまの治療を納得して安心して受けていただくために尽力しますので、お気軽に受診していただけますと幸いです。