形成外科
診療内容・診療目標
形成外科とは
日本形成外科学会のウェブサイトによると、形成外科とは「身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは整容的な不満足に対して、あらゆる手法や特殊な技術を駆使し、機能のみならず形態的にもより正常に、より美しくすることによって、皆さまの生活の質 “Quality of Life” の向上に貢献する、外科系の専門領域です」とあります。つまり「患者さんのQOL(生活の質)を高めること」が形成外科の大きな役割です。具体的には、生まれつきの形の異常を正常に戻したり、がんや外傷で失ってしまった機能を再建したりすることが形成外科の仕事です。
聖マリア病院の形成外科では、口唇口蓋裂や頭蓋早期癒合症などの先天性の疾患から顔面骨骨折、全身熱傷、重度四肢外傷(主に切断指)などの救急外傷、腫瘍切除後の再建(乳房再建)など、多岐にわたる疾患に対応しています。
この他にも難治性潰瘍に代表される足潰瘍は、フットケア外来を通して循環器内科や糖尿病内分泌内科、腎臓内科、形成外科などが連携を密にして診療を行います。がん治療後の手足のむくみに代表されるリンパ浮腫なども、専任のセラピストに協力いただき、マッサージや圧迫療法、手術治療を行っています。
連携登録医の先生方へ
形成外科は多くの診療科と連携することで力を発揮することができます。当院のように多数の診療科がそろう総合病院では、さまざまな症例にも対応しやすい環境が整っています。
救急疾患について、筑後地方で生じた子供の顔の傷は責任をもって対応いたします。
患者さんのそばに立ち、生活の質を高められるようにお手伝いさせていただきます。症例について、お気軽にご相談ください。
当院形成外科の歴史
聖マリア病院の形成外科は1980年の開設以降、地域の皆さまの診療に携わってきました。
昭和大学(東京都品川区)の形成外科医局からの医師派遣という形で、西村二郎医師(80年~)、門脇哲郎医師(82年~)、小住和徳医師(84年~)、佐野徹医師(89年~)、吉川厚重医師(90年~)、三川信之医師(2002年~)、雑賀厚臣医師(09年~)が歴代の部長を務めてきました。
19年7月からは林稔医師が診療部長を務め、常勤医師7人で日々の診療に当たっています。現在は昭和大学だけでなく、千葉大学と九州大学の形成外科医局からも医師の派遣を受けています。
開設から40年経過し、日本形成外科学会認定施設として、県内外からさまざまな疾患の患者さんを受け入れています。
取り扱う主な疾患
日本形成外科学会「疾患紹介」の分類に沿って、当科で取り扱う疾患をご紹介します。
新鮮外傷、新鮮熱傷
全身熱傷に関しては救急科、集中治療科との連携のもと培養表皮治療を行っています。そのほか植皮術などの手術を要する熱傷は随時受け入れていますのでお気軽に相談してください。また、小児の新鮮熱傷に関しても専門的に治療を行います。夜間救急の時間帯でも構いませんので受傷後早期に受診してください。入院加療により適切な創部処置の指導を行い、少しでも傷痕が残らないように努力したいと思います。
顔面骨骨折および顔面軟部組織損傷
頬骨骨折、鼻骨骨折、眼窩底骨折(※)、下顎骨骨折などの治療を行います。
※若年者の絞扼例は緊急手術を行い、再建が必要な場合は3Dプリンターを用いてシミュレーションを行います。
唇裂・口蓋裂
口唇口蓋裂治療では、小児歯科、矯正歯科、リハビリテーション室の言語聴覚部門と協力し、チームとして治療を行っています。2020年より口唇口蓋裂センターを立ち上げました。口唇口蓋裂治療の詳細はこちらをご覧ください。
手・足の先天異常、外傷
合指症、多指症、切断指に対する切断指再接合術を行います。
その他の先天異常
頭蓋縫合早期癒合症(アペール症候群、クルーゾン症候群、三角頭蓋、舟状頭蓋、短頭症など)、顔面裂、鰓弓症候群、副耳、臍ヘルニア、漏斗胸などの治療を行います。頭蓋縫合早期癒合症に関しては脳神経外科と連携し、生後3カ月から手術を開始することがあります。
母斑、血管腫、良性腫瘍
皮膚腫瘍に関しては、必要に応じて画像等の検査を当院で行います。手術枠の都合もあり、状況によっては当院医師を派遣している連携病院へご紹介することもありますのでご了承ください。
悪性腫瘍およびそれに関連する再建
乳がん術後の乳房再建については、乳がん切除後の即時再建(一期的再建)から二期的再建まで、全ての再建に対応しています。乳腺外科と連携して一期的再建を積極的に行っています。大腿部や腹部からの自家組織を用いた再建を得意としています。
瘢痕、瘢痕拘縮、肥厚性瘢痕、ケロイド
外傷、熱傷後の傷痕やそれに伴う関節の可動域制限に関して、手術や装具を用いた治療を行い改善させます。また、ケロイドに関しては放射線科と連携して術後電子線照射なども行います。
褥瘡、難治性潰瘍
糖尿病性末梢神経障害、胼胝、外反母趾、内反小趾、彎曲爪、陥入爪、閉塞性動脈硬化症、インソールや装具による除圧治療、放射性潰瘍と放射性骨髄炎治療後の皮膚難治性瘻孔などの治療を行います。当院糖尿病センターとの協力により、フットケア外来を併設しています。糖尿病による足潰瘍の予防的ケアから、血行再建を要する重症の潰瘍まで、循環器内科や心臓血管外科と密接な連携を行っています。
美容外科(※自費診療になるかは要相談)
乳がん手術後の再建において保険で賄えない範囲を自費診療で行います。乳輪乳糖のタトゥーや脂肪注入による再建が該当します。また、他院での自費診療によるトラブルに関しては自費での対応をしています。料金に関しては保険診療に相当する治療費の10割負担で計算していますが外来にて相談してください。
その他
原発性リンパ浮腫、二次性リンパ浮腫の治療として、50倍の高倍率顕微鏡を用いたリンパ管細静脈吻合やリンパ節移植などの最新治療を行っています。アロマ外来(自費)も併設しており、リンパドレナージなどの補助療法を受けることも可能です。この他、腱膜性眼瞼下垂、先天性眼瞼下垂(糸吊り上げ・自家筋膜移植)、睫毛内反、眼瞼内反、顎変形症などの治療を行っています。
症例実績
※手術実績をご覧ください。
手術実績
学会発表・論文など(2021年度)
外来体制
診察ブロック C |
月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | 土曜 |
---|---|---|---|---|---|---|
午前 |
|
|
|
|
|
|
午後 | - |
|
- | - | - | - |
診察ブロック C |
午前 | 午後 | |
---|---|---|---|
月曜 |
|
- | |
火曜 |
|
|
- |
水曜 |
|
- | |
木曜 |
|
- | |
金曜 |
|
- | |
土曜 |
|
- |
*診療受付時間は8時30分~11時30分まで。診察開始は9時からです。
*完全紹介電話予約制で、新患は事前の予約が必要です。
*北田医師の外来は、手術などの都合によりますので、事前にご相談ください。
*夜間救急は地域医療支援棟1階で受け付けます。
所属医師
口唇口蓋裂センター長/形成外科診療部長
診療担当病院長補佐
林 稔はやし みのる
- 出身大学
- 群馬大学
- 卒業年
- 2005年
- 所属医局
- 昭和大学形成外科学講座
- 学位(取得大学)
- 医学博士(昭和大学)
- 専門医等の資格
-
- ・日本形成外科学会皮膚腫瘍外科分野指導医
- ・日本形成外科学会形成外科専門医
- ・日本形成外科学会領域指導医
- ・日本創傷外科学会創傷外科専門医
- ・日本美容外科学会(JSAPS)美容外科専門医
- ・日本美容外科学会(JSAPS)教育専門医
- ・日本熱傷学会熱傷専門医
- ・日本美容医療協会美容レーザー適正認定医
- ・日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会乳房再建用エキスパンダー/インプラント講習会修了
- ・日本フットケア・足病医学会下肢創傷処置・管理のための講習会修了
- ・新リンパ浮腫研修(Step1.Step2)修了
- ・スキンバンク摘出・保存講習会修了
- ・ICLSコース修了
- ・医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
- ・緩和ケア研修会修了
- 学会役員等
-
- ・日本形成外科学会評議員
- ・日本熱傷学会評議員
- ・日本熱傷学会学術委員会委員
- ・日本熱傷学会編集委員
- ・日本熱傷学会九州地方会世話人
- ・九州・沖縄形成外科学会世話人
- ・WHO Emergency Medical Team Technical Working Group on Burns Care
香月 健亮かつき けんすけ
- 出身大学
- 久留米大学
- 卒業年
- 2015年
- 所属医局
- 昭和大学形成外科学講座
- 専門医等の資格
-
- ・日本形成外科学会形成外科専門医
- ・日本フットケア・足病医学会下肢創傷処置・管理のための講習会修了
- ・緩和ケア研修会修了
丸岡 潤平まるおか じゅんぺい
- 出身大学
- 九州大学
- 卒業年
- 2018年
- 所属医局
- 九州大学形成外科
渡邊 陽平わたなべ ようへい
- 出身大学
- 東邦大学
- 卒業年
- 2018年
- 所属医局
- 千葉大学形成・美容外科
- 専門医等の資格
-
- ・ICLSコース修了
- ・緩和ケア研修会修了
- ・日本フットケア・足病医学会下肢創傷処置・管理のための講習会修了
大原 卓也おおはら たくや
- 出身大学
- 昭和大学
- 卒業年
- 2020年
- 所属医局
- 昭和大学形成外科学講座
- 専門医等の資格
-
- ・日本フットケア・足病医学会下肢創傷処置・管理のための講習会修了
徳永 春奈とくなが はるな
- 出身大学
- 千葉大学
- 卒業年
- 2020年
- 所属医局
- 千葉大学形成・美容外科